こんばんは。都議の栗下です。

 

昨日、全国から注目を集めていた香川県のネット・ゲーム依存症対策条例が非公開の検討委員会で諮られ、議会で可決する方向性が示されました。

 

【香川県条例は、最後まで密室とブラインドで可決へ】

 

その検討委の中で先月募集されたパブリックコメント(以下パブコメ)の結果も発表され、ネット上でも大きな話題に。

 

 

 

 

香川県の他の条例におけるパブコメの件数は、数件~十数件で推移をしており、この件数は極めて異例(おそらく県政史上最多)であったことも付け加えておきます。

 

また大切なことは、パブリックコメントは件数の数で賛否を判断するものでは無い

ということです。反対件数が多かった条例が成立したケースは沢山あります。賛否ではなく、意見の具体的な内容が議論の中で斟酌され、条例に活かされるという点が大切なのです。

今回、賛否の件数だけがメディアを通じて報道されましたが、意見の内容については公開すらされませんでした。これでは意見が汲み取られたか否かも確認することができず、パブコメの趣旨を大きく歪めるものです。

 

 

【ゲーム規制は東京都にも来るか?】

 

この条例について心配されていたのは、他の都道府県に同様の内容で条例制定する動きが広がることです。(すでに秋田県の大館市には条例を検討する動きも。)

 

「ゲーム依存症で苦しむ方々を救うこと」は必要です。しかしそのやり方については、科学的なエビデンスに基づき行われ、各家庭や子ども達の自由をむやみに奪うものであってはなりません。

「ゲームプレイ時間と依存症になる確率」の因果関係についての調査は十分に行われていないということは、先般政府から出された答弁書の中にも示されています。

 

東京都においても香川の条例のような、非科学的で、恣意的判断の余地が大きい条例が制定されないよう、我々都議会の議員も気をつけていかなくてはなりません。一度行政で条例制定の流れができてしまうと、それを否決するのは容易ではありません。

常日頃から行政の動きを注視し、条例素案が作られる前に働きかけを行い、その内容を改善させていくということが必要です。

 

そこで、私は香川における条例制定の流れを受けて、都としてこのゲーム依存症の問題についてどのようなスタンスであるのか、大きな質疑の場で取り上げようとしました。

 

実際には、私が現在所属する委員会の中で扱うことができなかったため、扱うことができる同僚議員に依頼し、都との調整を進めてきました。

 

最終的にこの度の予算委員会において答弁を求めることは、この問題を前に進めるためにプラスにはならないという判断で見送ることとなりましたが、同僚議員が都職員とやり取りをする中で重要なことも明らかになったのでその点についてお伝えしたいと思います。

 

 

【国が動き出せば都も無視できない】

 

今回わかったことは二つ、「今現在、東京都がゲーム依存症への対策を条例化する動きはない」ということ。そしてもう一つは「国がWHOが国際疾病として認定したゲーム障害の問題について動き始めたことは注視している」ということです。つまり、国が今後法制化等の動きを進めるようであれば、それについては無視することができない。ということです。

 

これは、当り前のようではありますが、重要なことです。国において香川県のような誤った定義で議論が進められてしまえば、それについて東京都も強い影響を受ける恐れがあるということです。

 

国においては、厚生労働省が202025日に中央省庁、医療団体、ゲーム関連団体を集め、「ゲーム依存症対策関係者連絡会議」をスタートさせました。今後の議論の流れについて注視し、問題が懸念された際には早い段階で、世論喚起と是正のための働きかけを行わなくてはなりません。

 

私もそれらの活動を行うと同時に、東京都が歪なゲーム規制に走らないよう、行政・政治関係者に向けて、この問題について正しい認識を広めていきたいと思っています。