こんばんは。都議の栗下です。
 
これまでもお伝えしてきた香川県ネット・ゲーム依存症対策条例ですが、3月18日の県議会最終日に決定されます。
3月8日現在で、残り1週間強となったワケですが未だ審議日程すら明らかにされていないのはどういうことでしょうか?
 
条例の内容も、これまでツイッター等で指摘をしてきた通り、多くの問題があるのですが、それ以前に条例制定の進め方が同じ都道府県議会議員から見てもびっくりする程非民主的なので「進め方」にフォーカスしてお伝えしたいと思います。
 
 
【ステルスでの条例作成】
 
 
まず、この条例案がどのように作られたかですが、県のHP(上記)に公開されているのは、19年6月27日に議員連盟として最初の勉強会を開き、20年1月20日に6回目の条例検討委員会(県議15名で構成)で条例案が発表されたことだけです。1〜5回の検討委について議事録は愚か日程と内容すら記載されていません。
 
私が気になるのは特に条例検討委員会が設立された時になぜニュースにならなかったのかということです。
通常、新しい条例を作るときはその主体が行政であっても議員であっても、早期段階に示して世論とのすり合わせを行なっていく事が大切です。都議会で成立した「子どもを受動喫煙から守る条例」を我々が提案した時も、数ヶ月前から発表しメディアへ積極的に趣旨を伝えてきました。
条例制定の動きがメディアを通じて知られるようになったのは今年1月中旬からでした。
書いていないので、いつであるかすら分かりませんが、議連から条例制定が前提となる「検討委員会」に変わった段階で、広く世に知らしめようとしなかった(あえて隠した?)事が、条例の土台を独善的と言わしめるものにしてしまった大きな原因ではないかと思います。
 
 
【外部意見をシャットアウト】
 
そして策定後のプロセスも普通ではありません。
私は当初、県が主導する条例だとばかり思っていたのですが、提案者は議会でした。行政(この場合は県)側が条例提案をする場合には、条文の公表時期も審議まで時間的余裕をもたせる、パブリックコメントは最低30日間以上、など定めに則って行われるのですが、議会が提案と決定両方を行うのだから議会が納得していれば何をやってもOKとばかり、パブリックコメントの期間も2週間に短縮され、他の条例にはない「応募できるのは香川県民と県外事業者だけ」の条件がつきました。幅広く意見を受け入れるのとは真逆の姿勢です。
 
 
【チェック機能も全く働かない】
 
そして極め付けは2月17日に始まった香川県議会で審議日程も未だ明らかになっていない、不自然なほど触れられないということです。
全国でも初のこの条例はテレビや新聞でも数多く扱われ、大きな注目を集めているにも関わらず、2月20日に行われた県議会の代表質問では誰も言及しませんでした。こういった条例については、代表質問で各会派(政党)がそれらに対するスタンスの表明が、必ずといって良いほど行われます。
 
また極めて大切なのは、質疑を通じて条例条文では説明不十分なところを明確に定義し、議事録に残すことです。議員提案条例では通常、提案した会派が、その他の会派の質問を公開の場で受けなくてはなりません。条例制定の一番難しい場面ですが、いわゆるガチの質問に答えられるように条例を設計することで多角的な整合性が担保されます。
今回の場合は全ての会派が賛同して提案されるということで、チェックが全く働かない。条文のあそび(定義が明確になっておらず恣意的な解釈ができる部分)が大きなものになってしまうという事が一番の懸念です。
 
 
あまり他県のことに口出しするのは本意ではありません。しかし、こういうプロセスが普通だと思われるのも良くないですし、条例制定の影響は全国に広まり得るのです(既に秋田県大館市に飛び火する動き有)。
残りあとわずかとなった県議会で、都民からも数多く送られたパブコメをどのように斟酌し、条例に対する不安を払拭していくのか、刮目したいと思います。