子どものなりたい職業ランキングにユーチューバーが入ったと聴いてからもう随分経ったような気がします。今やテレビやネットのニュースでユーチューバーを見かけぬ日が無いくらい世の中で当たり前の存在になりました。
「〜してみた。」と人の好奇心をくすぐる動画、特定の趣味に関する情報を配信する動画など、ジャンルは千差万別ですが、動画の再生回数をみるとそれらのジャンル夫々にどれくらいの人が関心を持っているかわかる、一つのバロメーターのようなものになってきています。

有名ユーチューバーが、当たり前のように何百万回、ネットでしか配信しないミュージシャンが一曲あたり何千万回という再生回数を叩き出している一方で、(私の知る限り)最も不人気なジャンルの動画があります。
そう、「政治系」の動画はよくて数百回、下手すると二桁で再生回数が止まってしまう、万に届いたらかなり成功している方だと思います。国会ですら各議員の質問動画はそんな感じだし、都政においては何か騒ぎが起きない限り特にひどい。

今、政治系で再生回数を増やすようになってきているといえば、国民民主党代表の玉木雄一郎さんのたまきチャンネルでしょうか。しかし党代表が「ユーチューバーになる!」と宣言し、当時はテレビでも結構取り上げられたような気がしますが、それでも当初の再生回数は千回あまりで、政治動画はここまで伸びづらいのか、とそれを見て絶望したのを覚えています。今では、有名なユーチューバーと絡んだり、政治と関係ない題材もふんだんに取り入れ、だいぶ変わってきているようです。

なんでこんなに政治動画は人気ないの?というのは、多分政治業界で働く方なら、一度は考えたことがあると思います。私ももう10年近くこれについて考えてきました。

理由1:多くの一般の方は「政治・行政」についてそもそも関心がない、というか忙しくて細かいところまで見てられない。
政治でも自分の生活や、ビジネスに関連する事柄はこの限りではありません。またスキャンダルや不祥事があった時にはワッと耳目が集まりますが、それでも多くの方々がざっくりとしたレベルの認識に留まっている。新聞で言えば、見出しは見たけど。という感じでしょうか。流れの速い現代において、自分のお仕事を持っていれば、当然のことだと思います。私も民間企業で働いていた時に、新聞を隅々まで読んでいたか言われれば、そうと自信を持って言えません。

理由2:政治側も若干諦めている
動画に限らず、ツイッターやブログもそうですが、政治の世界は「言えないこと」「言ってはいけないこと」が非常に多い世界です。それは隠し事をしているというよりかは、人との信頼を保つために守らなくてはいけない秘密もありますし、どんなに偏ったイシューであっても100%の支持を得ることはまずあり得ないので、いう場所を選んでいるというのが、正確なところだと思います。よってハイリスクローリターンということで凄く頑張っている政治家(特に選挙区が小さな場合)というのは決して多くない印象です。

理由3:面白くない
人気のユーチューバーに共通しているのは、子どもでもわかる、興味や関心を惹きつける、知識が自分の趣味や生活に役立つ、と言ったものだと思います。つまり、面白いのだと。話を理解する上で、前提の知識を一定程度必要とする、また文言や、統計データに偏りがちな政治の話はそもそも面白くすることが困難なのではないかと。この点については↑の玉木チャンネルなどでは国会のレストランでカレーを食べてみたり、正体不明のものを食べてみたりと工夫していますが、「政治をわかりやすく伝える!」という本来の趣旨から若干ズレてない?付録の方が大きくなってない?という印象はぬぐいきれません。

他にも様々な切り口があるかもしれませんが、多くはこれらの中に集約されるのではないでしょうか。
ということで、政治系動画はブルーオーシャンではあるが、同時に難易度が非常に高いというのが私の実感です。国民の多くがスマートフォンを操るこんな時代ですから、挑戦する意義は大いにあると思いますが。

あ、政治系の中でも例外はあります。
後藤輝樹氏の政見放送とか・・。


まぁ政治において大切なのは伝えるべき中身、またそれによる社会的意義であって、再生回数だけを競うべきものではないというのも同時に感じてますが。
このテーマについてはまた改めて取り上げていきたいと思います。