1月、アメリカの自動車配車サービス「Uber」が、ソフトバンクら投資グループに巨額の資金投資を受け、ソフトバンクが筆頭株主となったことは記憶に新しい。

 

タクシー配車サービス「Uber(ウーバー)」

Uberはアメリカやヨーロッパ諸国、中国などのアジア圏においても、すでに普及しつつあるタクシー配車サービス。特徴は、登録すればプロのタクシーではなく、一般車でも配車できること。そして、同じ方向に向かう者同士が“相乗り”できるということ。

利便性と新奇性を武器に、各国で既存のタクシーサービスを撃破し、快進撃を見せてきたUberだったが、日本では二の足を踏まされる。後述する法の壁に阻まれ、いまだタクシー配車アプリにとどまっているのが現状。

 

だが、このソフトバンク参入で、業界の常識が変わる日も近いのではないかと個人的に思っている。孫正義氏は稀代の博打打ちだ。

日本における「交通」の常識を変えようとしているのではないか。

 

「白タク」と「ヤミ民泊」 UberとAirbnbの日本における挫折

多少話はズレたが、皆さんは「民泊」というサービスをご存知だろうか。

最近は、特にテレビや新聞などのニュースで取り上げられるようになった。

 

ホテルや旅館といった宿泊施設ではなく、例えば一般のお宅を貸し出して宿泊施設として利用するというサービス形態。

2月2日、東京都はその民泊についての新しいガイドラインを公表した。

 

東京都HP 小池知事「知事の部屋」/記者会見(平成30年2月2日)より

 

2020年東京オリンピック・パラリンピックにむけて、外国人観光客数が増加する中、東京都の宿泊施設の少なさが懸念されている。海外からの流入は年々増え続け、2016年では約1,310万人、うち宿泊客は980万人と統計が出ており、このままのペースで増え続けると、2020年には東京の現在ある宿泊施設が350%という膨大な稼働になりかねない。

 

民泊の実用化、そして冒頭に出たUberの宿泊サービス版とも言えるAirbnbなどの普及が期待されるのは自然の流れ、しかし日本におけるUberとAirbnb、これまでは非常に似た問題を抱えていた。

民泊についてはこの問題がもうすぐ法によって改められようとしている、それに先駆けた環境整備のために東京都がガイドラインを整備しているという状況だ。

 

宿泊施設・民宿を貸し出す人向けのウェブサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」

 

現在、日本で利用できるタクシーは、認可を受けた緑ナンバープレートの車のみ。

認可を受けていない車のタクシー行為は「白タク」と呼ばれ、海外でUberを使って一般車に乗るようなタクシーの使い方は、日本では行えない。

 

Airbnbにも、Uberにおける「白タク」にあたる「ヤミ民泊」の問題が有る。

通常民泊は、「登録してあるホスト(貸し手)から、アプリやネットを通してゲスト(借り手)が、対価を払って宿泊施設を借り受ける」というサービスだが、基本的に旅館業法の下、営業許可が必要となる。「ヤミ民泊」とは、営業許可をもらっていない違法サービス。

「ヤミ民泊」では施設でのトラブルや近隣からのクレームも無視され、騒音問題や、ゴミや汚物などの衛生問題、治安の悪化も招くことが多い。

ガイドライン案が民泊定着の成否を決める!?

これまで、特区制度を活用して条例で民泊のルールを定めた大田区など一部の地域を除き、民泊事業は行うことができなかったのだが、今年の6月15日から住宅宿泊事業法が施行されることとなり、届け出を行えば民泊が実施できるようになる。

今回、東京都が公表したガイドラインの目的は、この施行に先駆けて先ほど挙げたような「ヤミ民泊」の問題点をきっちりとカバーすることだ

 

住宅宿泊事業法ガイドラインの目的

東京都HP住宅宿泊事業の実施運営に関するガイドライン 意見募集より

 

ガイドラインでは、民泊サービスに関する窓口の充実、法や条約に抵触しないようにするための実際的な運用項目の明確なリスト化、さらに東京都による事業者への立ち入り調査なども行うことで実効性を担保する。

周辺住民との間に発生する諸問題への対策として、業者が民泊事業を始める前に周知し、摩擦が起こらないような環境作りを行っていく。

 

詳細は以下のURLをご覧いただきたい。

ガイドラインに対する意見募集は2月15日まで。

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/02/02/05.html

 

東京都のガイドライン案は今後法改正によって、都の新しい常識となる民泊サービスが正常に活用されるための、まさに羅針盤だ。

実効性あるものになるように、都議会でも提言していきたい。