本日を以て都議会における新会派:「東京維新の会」を設立し、午後には記者会見を行ってまいりました。

 創設メンバーは元自民党の野田かずさ都議(北多摩第一選挙区選出・39歳)、元民主党のやながせ裕文都議(大田区選出・37歳)と私元民主党のくりした善行(千代田区選出・29歳)です。


この間、会派設立にあたって互いの政策や政治信条について多くのすり合わせを行い、夫々の思想信条について一定の理解を得たつもりです。三人に共通しているのはこれまで所属していた党派及び会派の有り方に多くの疑問を感じ、有権者に向かってのポーズや政局中心の議会運営で無く、政策と政策のぶつかり合いのできる真っ当な都議会にしたい。世間の非常識である都議会の常識に風穴を開けたいという強い想いでした。


私は2009年の選挙において民主党に所属し、そして当選しました。以後、私が政界に入ったきっかけである「政治の不条理に切り込む」を体現するために、有るときには魂をすり減らしながら都政において、天下りの問題・大型公共事業の妥当性の問題・不適切な土地活用の問題、職員も他の議員も嫌がるような指摘を、会派を代表しての一般質問を始め、最前線に立ってやってきたつもりです。政権交代直後の党勢の良かった頃は会派のメンバーも良くやったと応援してくれましたが、党の勢いが無くなってくると改革への熱は廻りで急速に冷め、かつての自公民体制の事なかれ主義に陥ってしまったように私は感じます。


確かにメディアも、今は民主党と言うだけでいいことは取り上げないし、ともすると意地悪な書き方をするけれども、2009年の政権交代を実現した大きな都民の期待に応えるために最大限の努力をしたい。厳しい選挙区にあって来期の議席も危ぶまれているとなればなおさらの考えだと思います。しかし今年の3月から行われた都議会定例会で、前回の選挙の中で最も都民に理解されていたであろう公約「築地市場の豊洲への移転中止」の旗を、今でも残念でなりませんが、都議会民主党は自ら下ろすこととなりました。私を含む11名は会派の決定に造反し、処分を受けました。約束を守ろうとした者が処罰される、この件によって、私がこの会派において活動を続けることはむしろ都民からの信託に背く行為だとの思いは決定的となりました。


大阪府議会において、維新の会の議員の方々とお話をしながら感じたことが有ります。それは「覚悟」の違いです。政策的に同じものを掲げたとしても本当にそれを実現できるかどうかにおいて「覚悟」の差は極めて大きな要素だと思います。数字化できたりするものでもないので外からは見えづらいかもしれません。例えば、都議会民主党は2009年の都議選において野党過半数を得て改選直後は条例提案等改革の手段はいくらでもあったと思います。しかし、そこでアクセルを踏むわけでもなく会派として都政改革に向けて能動的な行動が取れないうちに、結果として議員を自民党に引き抜かれ、野党過半数割れをすることとなってしまいました。前回の選挙の際、多くの候補が自民党政治の中で温存された天下りを無くします。と訴えました。しかし、それに対して未だ実効力のある対策はとられていません。やれないのではなく、やる気が足りなかった。私は改革が失敗した理由をそのように捉えています。


私が大阪維新の会の方とお話をするにあたって最も大きな感銘を受けたのは、この「覚悟」についてでした。大阪維新の会は元々若手を含むメンバー6人が、自民党会派を飛び出し、橋下市長、松井府知事の活躍もあいまっていま府議会においては過半数を超える、まさに議会を主導する立場となりました。この間、常識ではありえなかった議員自らによる歳費の大幅カットを始めとして目の回るようなスピード感での議会・及び行政改革を実現しています。最初に自民党会派を飛び出した方々は選挙も安定し、自民党会派にいれば身分の安定は約束されている身でした。志と戦略があれば、政党の庇護を受けずとも、また会派の人数が少なくとも、改革を実現することは不可能ではないということの証明だと私は思います。


私は民主党を離脱した際、「政治の不条理に切り込む」という私がこの世界に入った理由をつきつめていくと皆さんにお伝えしました。実際には離脱するかなり前から今回のプランは念頭に有ったのですが、戦略上、公にすることができませんでした。よって「行政刷新を貫く会」という一人会派を経由する形となりましたが、私の政治生命をこの行革の成否に賭けるという思いに偽りはありません。我々東京維新の会の三つの注力施策が行政・議会改革、脱原発依存、尖閣諸島の実効支配強化の後押しですが、これらはそれぞれ三人の創設メンバーの強い意志を汲んだものとなります。私はこれから新しい会派の中で議会・行政改革に覚悟を持って活動をしていきたいと思っています。


民主党がダメになったら勢いのある維新へと飛び移る、なんと節操がないことかという批判も恐らく多いことでしょう。しかし、私は党に雇われているわけでは無く都民の皆さんに雇われているのであって、この都議会において都民の期待に応え不条理を一つでも減らしていくためにあらゆる選択肢を考え、そして完遂することが、批判を浴びたとしても私に課せられた責任であると信じています。我々が改革への歩みを止めてしまった時、具体的な活動をやめてしまった時は、迷わず皆さんの手で落選させて頂くべきです。しかし同時に、誰もできなかった都政改革に向けての我々の活動を注視し、応援いただければこれ程ありがたいことは無いと思っています。


以上、大変長くなり恐縮でしたが、これまで語ることのできなかった本当の思いです。今後とも、よろしくお願い申し上げます。