「(朗読劇をやるのは)夢でした」
舞台が終わった後、
主演の泉ピン子さんは最初にそう口にした。
全国巡業がはじまった
朗読劇「泉ピン子のすぐ死ぬんだから」
池袋にある
あうるすぽっとで
上演されています。
あ、この写真
私の足が見えてる笑
80歳を目前にした主人公は
「すぐ死ぬんだから」
と口にして、
お洒落を、
生きる今を楽しもうとしている。
その口から語られる言葉は素直なものばかりで、
会場の笑いを誘う。
この主人公像にこれだけぴったりなのは
泉ピン子さんの他にはいないのではないだろうか。
前半の幕が下りるまでの20分ほどは涙なしには見られず、私はぼろぼろ泣いていた。
そして
後半のクライマックス。
どれだけ心励まされたことか。
これが
女優泉ピン子さんか。
と圧巻だった。
泉ピン子さんの舞台は初めて観たが
泉さんにとって
長い芸能生活の中でも
朗読劇ははじめての経験という。
「意外ですよねえ」
と語る
共演の村田雄浩さんには
泉さん自らオファーの電話をかけたそうだ。
そんな村田さんの演技も素晴らしいの一言。
老若男女、
泉さんと村田さんしかいないこの舞台で、
主人公を取り巻く登場人物たちを見事に演じ分けていた。
どれだけ引き出しを持っているんだろう!
とワクワクした。
そして
おふたりが口を揃えて話していたのは
「いつもの演技と朗読劇は違う」
ということ。
覚えるのと、
本を読むのとは違うもので、
本を読むことで
その場その場で言葉と出会うのだという。
そんな奇跡のような瞬間に立ち会えて
とても幸せだった。
泉さんは語った。
「コロナの影響が広がる中、
劇場に足を運ぶのは怖かったでしょう。
来てくださって私はとても嬉しいです」
コロナ禍で戦う俳優たちの心を代弁しているかのようで胸を打たれた。
ところでこの舞台、
私の演劇の恩師である笹部博司さんが台本と演出
そして
こちらも私が小学生の頃から出ていたミュージカルで何作品も音楽を作られてきた宮川彬良さんが音楽を担当されている。
笹部博司さんの台本は
作られていない、
あくまで自然なセリフが持ち味だ。
それを彩る音楽は
宮川彬良さんらしい華やかな音色で
すばらしい舞台だった。
ああ、
おもしろかった!
生きる力をいただいた。
この舞台が無事に全国を回ることができますように。
「ハマった」
とお話していた泉ピン子さんの
ライフワークとしてこれからもまたずっと見られれば
なおのこと良いと思う。
舞台 すぐ死ぬんだから
お近くで上演の際はぜひ!
足を運んでくださいね。