感想と、ストーリーの覚書です。


宝塚歌劇 月組

バウ・ミュージカル

『月の燈影(ほかげ)』

作・演出/大野拓史


宝塚バウホール

2023年6月14日から6月25日

主演:礼華はる



(画像は公式よりお借りしました)

以前花組では2人が主演でしたが今回は1人。

でも、内容はほぼ同じでした。
最後のショーの部分だけ1人を主演扱い。

花組版をCS時代劇チャンネルの放送で見ました。
その時の解説の中井美穂さんが「何度も繰り返して見て下さい」といっていましたが、たしかに一回ではよく分からず。
2回でもちゃんとは分からず、
映像で2回見たあとで今回生の舞台を見て、ようやくストーリーも、またなぜ登場人物がこういう行動を取ったのかも腑に落ちました。

分かりにくさは、話が時系列じゃないことかな。何度も過去に遡るので、それを整理するのと、やっぱり結末を知ってからもう一度見ると伏線が理解できるので最低2回は見ないとダメかも。

話が理解しにくいものの、バウホールの公演としてはよく出来てたし、最近は映像として残られることが前提になってるので、繰り返し見る、という意味ではいい作品です。

先月見た雪組の『ライラックの夢路』は一回見たら十分な話だったことを思うと、これぐらいひねりが効いてる作品を大劇場でやってもいいと思う。

バウホールの緞帳

お席は後ろから2列目、でもちょうど真ん中。
傾斜もあって見やすいお席でした。

宝塚友の会で当たる席はだいたい最後列か後ろから2列目です。なぜだろう。

当たるのも2年に1回ぐらい。
今回はコロナもあって4年ぶりでした。


再演なので、どうしても初演の演者に宛書されてるので不利かと思います。
でも、若手を中心によくやってた。
専科からの出演がやっぱりよくて、初演と同じ役をやっている二人も良かったけど、やっぱり火消しの親方役のマリンさんが、すごく良かった。 初演は別の役ででてた(と 思う)


話を時系列にしてみました。
幸(さち)の父は三味線ひきだったが、酒に溺れて引けなくなる。
貧しい生活から抜け出すために、幸は友達の次郎吉を誘って火消しになる。
幸の姉は幸がいなくなったあと借金の方に売られる。
それを知って幸は姉を救い出すために人を殺めてしまい、江戸にいられなくなり大川の向こうへ姉とともに逃げる。
幸と姉は大川の向こう側で淀辰のもとで生活する。実際は淀辰に姉を人質に取られて、いいように使われていた。
そんな幸を救うために姉は自殺する。
姉がいなくなってから、幸は淀辰の元を抜けて自分で「通りもん」(今で言う半グレ集団みたいなもの)を組織する。

ここから数年後、
次郎吉は火消しになっている。
偶然、次郎吉は幸(さち)にそっくりの幸蔵(こうぞう)を見かける。
次郎吉は追いかけて大川をわたり幸を探すが、人違いと言われる。
火消しの親方も幸蔵は幸にそっくりだと認め、幸の(今で言う)戸籍を調べるが、姉とともにそっくり籍が消されていた。

幸蔵は、次郎吉と喜の字の弟に自分の賭場に出入りすることを許す。
喜の字は自前の芸者だが、妾奉公を持ちかけられているが断っている。
喜の字に言うことを聞かせるために淀辰は喜の字の弟に賭博で巨額の借金を追わせて、それは、幸蔵が仕組んだことだと思い込ませる。

喜の字を救うために、幸蔵は1人で淀辰の元へ向かう。
幸蔵と淀辰の手下がやり合っているところへ、喜の字の弟が割って入り、幸蔵を刺そうとする。
幸蔵を救うために次郎吉が間に入り、喜の字の弟に刺される。
刺されてながらも次郎吉は淀辰の手下を刺す。

次郎吉は刺された傷がもとに亡くなる。
その後、幸蔵は自らがねずみ小僧次郎吉を名乗り盗みを働く。
9年後、ねずみ小僧次郎吉の幸蔵は捕まり、処刑される。

淀辰は幸蔵によって殺されているが、川向うの闇社会のお金を役人が巻き上げる仕組みは変わっていない。

でも、喜の字は9年後も芸者として暮らしている。


幸蔵も次郎吉も、自分のためではなく兄弟や友達のために命を投げ出す。

一旦守るべきものを持つと、それが弱みにもなるってことを人身売買が行われていた江戸時代を舞台に描く。

そういう話かなぁ。

主演の礼華はるは初演のゆみこさんほどうまくはないけど、これからスターとして育てようという劇団の強い意図を感じるので、今後ますます重用されそう。
できればトップになって欲しいな。

だいたい、上手な人がトップになるとは限らないのが宝塚だし。

この前の月組公演『応天の門』でもいい役をもらってたし。