柳兪くん、お元気ですか。
今日は曹覚文先生がとっても難しい大学の中の言葉を教えて下さいました。
所謂誠其意者、無自欺也、如悪悪臭、如好好色、
此之謂自謙、故君子必慎其独也、
小人閑居為不善、無所不至、見君子而后厭然掩其不善而著其善、人之視己、如見其肺肝然、則何益矣、
故君子必慎其独也
あんまりムツカしいので
居眠りしそうになって居たら曹先生が突然
「徐暖々、そなたは小人か君子か?」と聞きました。
「しょ、小人です!」
と答えたらみんなにドッと笑われました。
なんで笑うの?
曹先生はまだしつこく暖々を追いつめます。
「何故自らを小人と称するのだ?」
暖々は正直ものです。
「このお教室で一番小さいからです!」
そしたらまた全員で笑われました。
「では、小人…そなたは暇を持て余した時何をするのか言いなさい」
暖々はびっくりしました。
曹先生は暖々におウチの中のことまで白状させようとなさるのですか!?
「曹先生!暖々は毎日忙しいです。朝起きたら顔を洗ってすぐに鶏の曹操と劉りゅうに水をやって餌をあげます。卵を産んでいたら曹操に内緒で頂戴します。それが済んだら猫の楊々の毛繕いをします…髪を結って貰ってそれから朝餉を頂きます…あ、朝餉が済んだらお父様とお母様にご挨拶に行ってお父様は時々塾で何を勉強してるんだと言って訊ねるので暖々は…」
「分かった!もうよい!」
先生は暖々の答えを途中までしか聞いてくれません。
曹先生は疲れた顔をして仰いました。
「よい、そなたは小人になるには忙し過ぎるという事がよく分かった…次、、」
曹先生は話を一方的に打ち切るのです。
暖々はもっと小人暖々の毎日をお話しようとしたのに悲しくなりました。
次にはもっと先生が聞きたくなるようなお話をしなければ…と思いました。
柳兪くんはお勉強家だから暖々みたいな失敗はありませんよね。
学問は大切だけれど頑張り過ぎないでね。
お身体には気を付けてください。
小人暖々より
暖々へ、拝復。
君の元気な様子が分かって嬉しいよ。
君は小人なんかじゃない。
曹先生にも君の毎日が充実していることが十分に伝わったと思うよ。
君が鶏の曹操や猫の楊々と遊んでる姿を想像して微笑ましかった。
僕も君に負けずこの謹習書院で日々勉学に励んでいるよ。
書院では君の兄上、諭先輩が時々僕に指導してくれる。
面倒見が良くて心が温かくて本当に尊敬する先輩だ。
先輩のような兄上がいて君が羨ましいよ。
勉学の合間にね、君のことが話題に出るよ。
君は不思議な人だね。
どんなに勉学が厳しくても
先輩も僕も君のことを話す時は笑顔になる。
身体のことまで心配してくれてありがとう。
書院は峨眉山の麓にあって自然が美しい。
日々美味しい空気を吸い頭をすっきりさせて
山歩きをして身体を鍛える事も出来て最高の環境だよ。
また君の便りを楽しみにしている。
柳兪より