今日は塾でお勉強の日です。

今日からは萬大顕さんが馬車の付き添いをしてくれます。

「暖暖様、塾で嫌な野郎はいませんか?」

窓の外から萬大顕さんが聞いてくれました。

暖暖が一人も居ないと答えると萬大顕さんはちょっと残念そうでした。

「もし居たら萬大顕さんはどうするの?」

「暖暖様、そんな生意気な奴が居たら俺が一発かましてやりますから何時でも言いつけて下さい」

ひとりも居ないと言って正解でした。


そう言えば塾の生徒はみんな礼儀正しいです。

代表が柳兪君です。

今日も終わりがけに暖暖のところへ来てくれました。

「暖暖、今日習った箇所で知らない文字や意味が分からないところは無かったかい?あれば僕で分かる範囲で教えて上げるよ」

「う〜ん、分かったと言えば分かったし…分からないと言えば分からないし…」

柳兪君は思い切り笑いました。

そして暖暖の頭を撫でてくれました。

「そうだろうな…この塾の教材は高度だから暖暖の歳でこんなの全て理解出来たら天才だよ。今は門前の小僧で充分さ」

そう言って優しくほほえみました。

私はまたポーっと見惚れました。


帰りも萬大顕さんが迎えに来てくれました。

「暖暖、またね!」

柳兪君が手を振ってくれました。

暖暖も手をふりふりして挨拶しました。

「暖暖様…あいつは何処のどいつですか?」

萬大顕さんも柳兪君の後姿をニラみながらお父様と同じ事を聞きました。

「柳兪君だよ。あ、嫌なヤツとかじゃないよ。暖暖にやさしくしてくれるんだ」

萬大顕さんはふうむと唸りました。


塾の男子生徒が何人もその横を通ってゆくのを睨みながら萬大顕さんは大きな声で言いました。

「暖暖様、オトコには気を付けて下さい。向うから近寄ってくる奴は特に…」

そして気合を入れ、その場で組手の技を披露してくれました。


私に近寄ってくる男の子は柳兪君だけになりそうです。