12月8日、わくわくドキドキの《BOYS》ライブがおこなわれた。
このピアノトリオをぼくと同じようにわくわくドキドキ、楽しみにしているお客さんが12月の寒さにもかかわらず大勢ネフェルに集まった。
ネフェル玄関に現れた三人と握手をした。
金澤英明さんの手は、太くてガッチリしている。
石井彰さんの手そして指は、スマートでとても繊細だ。
石若駿さんの手は、あったかくて若さ特有のエネルギーを感じる。
今回は皆さんネフェルTシャツを気に入ってくださり、全員それを着ていただいての演奏となった。
リハーサルの時、金澤英明さんは、「ここは、ホールのような音響空間なのでアンプを通さないで生音で演奏したい・・・」ということなので、アクースティック・ライブとなったのだが、まあ驚いたことに金澤さんの太い指に弾き出された音達の何とまあ、でっかいことでっかいこと・・・、腰を抜かしそうだった。
石若駿さんのバスドラやシンバル音にぜーんぜん負けていない、超迫力に圧倒された。
スタートは、ピアノが幻想的に美しい音を紡ぎ出す・・・。
まるで、F・プーランクかE・サティー等のフランス印象派近代音楽のような軽やかで洗練された、そしてちょっと物憂い不協和音がかったピアノ音に痺れる。
ノンリズムのイントロから徐々にインテンポになり、そっと撫でるようにマレットのドラムスが緩やかに入ってきて、分厚いベース音がしかし弱音で繊細なピアノに寄り添うように静かな音を出す。
石井彰さんのピアノは、いろんな顔を持っている。
クラシカルな繊細なピアノ、そして真逆ともいえるソウルフルでブルージーな黒く滴るようなピアノ、そしてセシル・テイラーのようなこぶし打ちや肘打ちパーカッシブ奏法。
『シャイニー・ストッキング』は、オスカー・ピーターソンも真っ青のわくわくぞくぞくのグルーヴィー感がたまらない。
リスナーも一緒に首を振ったり、指で机を叩いたり、身体を左右にスウィンギ~に揺らしてる。石井さんは、ラテンタッチの曲ではタンバリンも叩く。
金澤さんの曲紹介が面白い。(前半は一切曲紹介がなかったが・・・)
「楽しいクリスマスが近づいているので、『ゴースト』を演奏します」(爆笑!)
これは、アルバート・アイラー(Ts)作曲のアヴァンギャルド&ゴスペル(讃美歌?)のような、把握するのにちょっと難解な曲だが、イケイケになった石井彰さんの腰を浮かしたこぶし打ち&肘打ち奏法は、見ていてとても楽しくなり興奮する。
こういう曲は、CDやLPで聴くんじゃあなくて観ながら聴くライブの方が絶対に良い。
金澤英明さんのベースは、太い指で弾くたびにブリュンブリュンと太い弦が撓る。
イタリア・オペラの曲『Villa 』は何だか遠い昔に聴いたような懐かし曲。それを金澤さんは一音一音を慈しみ恋人に囁くように弾く。
ベースソロでメロディーを奏でる。心が優しくなるような曲だ。
一つの音に魂が入っていて、単音の美しさがそこにある!
二部では、石若駿さんのとの出会いから現在までのことをユーモアたっぷりに話した。「二十歳になる前から一緒に演奏しているが、早く酒が飲めるようになればいいのだが・・・、と思ったが、今じゃやつの方が大酒飲みになってしまった」
そして、石若駿さんのドラミング。とにかく彼はスゴイ、半端なくスゴイ!
メリハリ、スピード感、色彩感、音の立体感、どれをとっても超一流だ!
曲によって全く違う奏法を魅せてくれる。
バラッド曲では、柔らかいマレットやザラッザラッと乾いた音を出すブラシ使い、そして時としてそのブラシを逆に持ちシンバルにシャ~とこする。
また、明るいラテンっぽい曲では、スネアの上に10本ぐらいのスティックを置きそれをジャラジャラと下におとしたり、金属製の大きな櫛のようなものでギロのような音を出したり、お坊さんの鈴や木魚のようなものをパーカッションに仕立てカラフルな音を出す。
彼のドラムソロは、4分ぐらい続いたが、まったく飽きない。
バスドラとハイハットを叩く脚がトップアスリートのような素早い連打になり、驚いてしまう。
思い切り叩くのでスネアの皮が破けそうになり、シンバル音が脳天を突き破る。
ラスト曲が終わっても、大きな拍手が鳴り止まない・・・。
その拍手に応えて、アンコール曲にもまたまた大きな拍手・・・。
二時間半があっという間に過ぎた・・・。
やっぱ、この《BOYS》、三人とも超一流でレヴェルが高い!
世界のヒノテルが、手放さないわけだなあ・・・
審美眼の持ち主・日野皓正さん、さすがお目が高い、!!
最後に、ミュジシャンと一緒に記念撮影、パチリ!
これは、皆さん「ハイ!ポーズ」でかっこつけている一枚。
こちらは、皆さん笑顔が素敵で楽しそうな一枚。
ネフェルTシャツを着てもらって、ぼくもとてもうれしかった。
今日だけは、《BOYS》じゃあなく、《NEFER BOYS》だ!
この素敵な《NEFER BOYS》にまた是非是非演奏してほしいなあ、と思いました。