チケットの行方・前編 | お気楽ごくらく日記

お気楽ごくらく日記

白泉社の花とゆめ誌上において連載されている『スキップ・ビート』にハマったアラフォー女が、思いつくままに駄文を書き綴っています。

今回の話は、今月号(2019年2号)に載ってたショートで妄想&続き妄想です。

原作の続きが楽しみで意気揚々と買って帰ったのに、載ってないのが判明した時のガッカリ感ときたら!!が~ん、ショック!!

コミックス派及びネタバレがお嫌な方は、こちらでUターンする事をお勧めします。

 

 

キョーコはもうすぐ期限の切れるチケットを前に頭を悩ませていた。

話は約3週間前に遡る。ある日、オフだったキョーコは、下宿先のだるまやの女将に頼まれて近くの商店街に買い物に出かけた。

師走に入った時期でもあり、その商店街では1000円の買い物毎にガラガラ抽選のチケットを各店で配布していた。

頼まれた買い物でキョーコもチケットを入手し、くじ運が悪いから当たっても末等のティッシュペーパーだろうと軽い気持ちでガラガラ抽選に臨むも、何故か二等のペアチケットが当たったのだ。

それは近くの植物園が現在開催している、《光と花が織りなすファンタジー》と言うものである。

買い物から帰ったキョーコはそれを女将に頼まれ物やお釣りと一緒に渡した。

が、女将はそのチケットをキョーコに渡した。

 

「これはキョーコちゃんがお使い。友達とでも一緒に行っといで。」

 

それではお言葉に甘えて、ありがたく使わせて頂きます、と言えない所がキョーコのキョーコたる所以である。

差し出されたチケットを前にキョーコは困惑した。

そもそも、このチケットの所有者は女将さんである。

悩んでいるキョーコを見て、女将は言葉を重ねた。

 

「今、年末だろう?忘年会でお店もなかなか忙しくてね。このチケットの期限内に私らは行けそうにもないんだよ。だから、無駄になるなら、一層の事キョーコちゃんに楽しんで来てもらいたいんだよ。」

 

その温かい心遣いに、キョーコはほっこりなると同時に嬉しくなった。

 

「そう言う事でしたら、お言葉に甘えて頂戴しますね。行ったら、たくさん写真を撮ってきますので見てもらえますか?」

 

「もちろんだよ。」

 

このやり取りで、チケットはキョーコの下にやって来たのだが、いざ、誰と行こうか悩んだ。

と言うか、真っ先に一緒に行きたい相手の顔が浮かんのだが、その人物はキョーコの所属する事務所の先輩でもあり日本でもトップ俳優であり、某ブランドのモデルも務めている為、その忙したるや尋常ではない。

キョーコはその先輩俳優に淡い恋心を寄せているが、一生告白するつもりはない。

けれど、少しぐらい、そうほんの少しぐらい恋人同士の真似事ぐらいはしてみたいと思うのも否定は出来ない。

けれど、だからと言って超絶に忙しい先輩俳優に迷惑がかけるのも嫌だし、と一人悶々と悩んでいると、チケットの期限が後10日ばかりで切れそうになる日まで近づいた、ある日、ラブミー部の部室で偶然会った親友にキョーコは意を決して声をかけた。

 

「ねぇ、モー子さん、一緒に行かない?」

 

チケットを差し出して、親友に声をかけるも、けんもほろろに断られた。

 

「なに、これペアチケットじゃない。って、しかも期限が過ぎるまで後ほんのちょっとしかないじゃない!悪いけど、もうすぐロケやら撮影やらでオフなんて無いから行けないわよ。」

 

「そ~ん~な~。モー子さ~ん。そしたら、私は一体誰と一緒に行けばいいのよう(´;ω;`)ウッ…」

 

「そんなこと知らないわよ。時間がないんだから、色んな人に声をかけてみなさいよ。敦賀さんとか。」

 

蓮の名前を出されてキョーコはピキリと固まった。

 

と、丁度そこへ部室のドアをノックする音が聞こえ、キョーコの想い人である蓮が顔を出した。

 

「移動するまでに少し時間があるから、ここで休憩させてもらってもいいかな?」

 

声も言葉も丁寧だが、キョーコを巡って一方的に奏江をライバル視している蓮の顔には、あからさまに奏江が邪魔だと書いている。

 

それを読み取れないほど鈍感でもない奏江は、さっさと退散する事に決め込んだ。

 

「もうそろそろ行かなくちゃいけないから行くわよ。」

 

そう言って、奏江は後ろを振り返らず部室を後にした。

 

「敦賀さん、お疲れ様です。」

 

「うん。最上さんもね。」

 

「コーヒーお淹れしますね。」

 

キョーコがコーヒーを淹れるために席を立った。

さっきからテーブルの上に置かれていたチケットが気になった蓮はそれを手にした。

 

「《光と花が織りなすファンタジー》?これは?」

 

蓮の声にキョーコは説明した。

 

「それは、先日だるまやの女将さんに頼まれたお使いで、商店街が主催していたガラガラ抽選でたまたま当たった物なんです。ペアチケットなんで誰と行こうか悩んでいたら、期限ぎりぎりになっちゃって。」

 

蓮の前にコーヒーを置きながら答えると、蓮から意外な言葉が返ってきた。

 

「最終日って、12月25日なんだ。その日なら、俺オフだから一緒に行く?」

 

蓮からの思いがけない誘いにキョーコの心臓は止まりそうになった。

 

「い・・・・いいんですか?」

 

「もちろん。この植物園の近くに遊園地もあったよね。昼間はそっちに行って、夜はこの植物園に行く。それでどうかな?」

 

蓮からの誘いを断るなんて考えられないキョーコはコクコク頷いた。

 

「決まり。また、時間とか待ち合わせとか決めよう。そろそろ社さんが来る頃だから行くね。コーヒーご馳走さま。」

 

キョーコは夢見心地で蓮を見送った。

 

《つづく》

 

これって、頑張ればきょこ誕になるかしら?