花も嵐も・3 リク罠 | お気楽ごくらく日記

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白泉社の花とゆめ誌上において連載されている『スキップ・ビート』にハマったアラフォー女が、思いつくままに駄文を書き綴っています。

いつもお世話になりっぱなしになっている魔人様こと、sei様宅のリク魔人の妄想宝物庫の4周年記念の罠へ懲りずにレッツらドボンです。

今回のお題はこちら



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「お姉ちゃん、今日はありがとう。」

キッチンでは妙齢の女性と高校生らしい女の子が二人仲良く肩を並べて料理している。

「当たり前でしょう?可愛い可愛い菜穂のためだったら、お姉ちゃんはどこでも行くよ。」

その言葉に、菜穂と呼ばれた女の子はエヘヘと笑った。
そんな女の子を見て、「菜穂、可愛い!!」と言って、ギュっと抱きしめた。

「そう言えば、今日証言してくれた男の人、誠実そうな人だったね。」

そう菜穂が言ったとたん、それまでデレデレと妹を見ていた美しいその顔を般若の様に歪ませて力説した。

「菜穂!!いつも言ってるでしょ?男って言う生き物はね、どんなに良い人そうに見えても×半身でしか物事を判断できない生き物なのよ!!お祖母ちゃんとお母さんを見てみなさい!あの二人がどれだけ×そジジィと×そオヤジに苦労させられた事か!!」

「う・・・・・うん・・・」

「あの男も証人だなんて良い人ぶってるけど、実際はどんなに性悪な奴か分からないから、これ以上あの男には近付いちゃダメよ!」

「分かった。お姉ちゃんの言う事はいつも正しいもんね。そう言えば、お姉ちゃん直伝の×漢撃退法、今日はすごく役に立ったよ。」

「それは良かった。ああ言う好き勝手する奴らには手加減する必要はないからね。それよりも、明日から登下校はお姉ちゃんが車で学校まで送って行こうか?今日みたいな事がまたあったらと思うと・・・・」

「大丈夫だよ。安全ピンがあるし。いざとなったら急所を蹴りあげるし。」

頼もしい妹の言葉を、うんうん女性は頷いて聞いていた。そこに、ニャ~と鳴きながら飼猫のロシアンブルーが、菜穂の足元に擦り寄って来た。

「ナノ、もうちょっと待ってね。」

「ご飯出来たから、菜穂はナノのエサ、お願い。」

「は~い。」

「はい、カット、OKです。」

副監督の声がかかると、セットを変えるために一気に慌ただしくなった。

「京子ちゃん、せっかくドラマでは仲良し姉妹なんだから手を繋いで、撮りを一緒に確認に行こうか。」

わざとらしく大きな声でそう言う遊佐に、社の隣からギリギリと音が聞こえた。

肝心のキョーコは、と言うと頬を赤らめて遊佐と手を繋いで監督たちの元に歩いて行った。


ちらりと蓮を見ると、手はプルプル震えており持ってる台本を今にも真っ二つに破きそうな勢いである。顔が無表情なだけに怖い。

「な・・・・なぁ、蓮君?」

「何ですか?社さん。このシーンが終わったら、次は俺の出番なんで邪魔しないでもらえます?」

「あ・・・・ああ」

触らぬ神に祟りなしとばかりに社が口を噤んだとたん、呑気な声が二人の後ろから聞こえて来た。

「おお?あの怪しい手の動き、やっぱりあの噂は本当だったんだ。」

「やぁ、貴島君、おはよう。噂って何?」

社も、貴島が知っている遊佐の噂とやらに少々興味があったので、目は手帳に落としたまま耳をダンボにした。


「あくまで噂なんだけどね。ヅカ時代からのコアなファンの間では有名な話らしいよ。遊佐さんが同性愛者なの。」

「「は?」」

知らん振りをしようと思った社だが、思わぬ爆弾についつい蓮と一緒に声を上げてしまった。

「特に、京子ちゃんみたいな小動物を髣髴とさせる様な女の子がタイプらしいよ。現にほら、あの手って、完全に恋人扱いだと思わない?」

その言葉に恐る恐る、キョーコたちの方を見ると、「ほら、京子ちゃん、そこだと見えにくいだろう?」と言ってキョーコの腰を抱く遊佐の姿があった。

「敦賀君、京子ちゃんと仲が良いみたいだから、ちょっと気を付けてあげた方がいいよ。」

「ありがとう、貴島くん。そうするよ。」

貴島の忠告に先程までの闇の大魔王は鳴りを潜めたようである。


《つづく》

ちなみに、遊佐睦樹さんはヅカ時代、男役だったと言う裏設定がございます。
ヅカの方が同性愛者ではないと思うのですが、作り話として軽く流して下さると嬉しいです。