石橋ですが? | お気楽ごくらく日記

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白泉社の花とゆめ誌上において連載されている『スキップ・ビート』にハマったアラフォー女が、思いつくままに駄文を書き綴っています。

石橋光。高校2年生。

本人は、童顔であることにコンプレックスを感じている。
その本人のコンプレックスとうらはらにそのベビーフェイスと光が喋るコッテコテの関西弁が可愛いと人気急上昇中である。


しかし悲しいかな、人の良すぎる性格が災いしてか、これまで告白しても、「友達以上には見られない。」と振られてばかりだった。

その光が、同じクラスの最上キョーコに恋をした。今時の女子高生にしては珍しく、メイクも髪を染めていない事にも好感を持ったのが切っ掛けだった。

一つ好きな所が見つかれば、後は惹かれて行くだけだった。
いつも笑顔でな所も、字が綺麗なのも。同年代の自分たちに比べて料理のスキルがたかいとp。


そんな中、5月のある日、光は部活の後に教室に課題を忘れたのを思い出し、取りに戻った。

教室の入り口から中を覗くと、窓際の席に座ってすやすやと気持ち良さそうに眠っているキョーコがいた。

時間はもう夕方。日中は汗ばむぐらい暑いけれど、日が翳って来るとまだまだ肌寒い。

いくらなんでも風邪を引くだろうと、キョーコを起こそうと教室に足を踏み入れるより先に、キョーコの側に歩み寄った人物がいた。


相手は、伝説のスーパーウルトラ男子高校生・敦賀蓮。


光は高校入学時と同時に親の転勤に伴って関西からこちらに引っ越して来たので、敦賀蓮と言う男子生徒を去年初めて知った。

初めて見た蓮に光は、自分と同い年とは思えなかった。

背の高さと言い、堂々とした落ち着き振りと言い、何より自分が男であることをうっかり忘れて惚れてしまいそうなほどの美貌に、光は天は二物も三物与えるべき人間には与えるんだなぁと妙に感心したものだ。


出遅れた光はどうしようか迷ったが課題を持って帰らないことには期日までには間に合わないし、何より蓮がどんな行動に出るのか気になって目が離せなかった。


蓮は足音を忍ばせて無邪気な顔のまま眠るキョーコの側に近寄ると、おもむろに自分の上着を脱いでキョーコの肩から被せて、自分はキョーコの前の席の椅子を引いて座った。


そして蓮はキョロキョロ辺りを見回すとその長い手を伸ばすと、キョーコの艶やかな髪を優しく撫ではじめた。

何度も何度も繰り返すその仕草に光は目が釘付けになった。どうと言うことのない行動なのに、なぜか際どいシーンのあるドラマよりもドキドキした。

そして、何よりも蓮のキョーコを見る目がものすごく優しく、光は本能的に自分の恋は敗れ去ったのだと思った。どう逆立ちしたって、自分が蓮に敵うわけがない。


そうこうしていると、ようやく目が覚めたのかキョーコと蓮の会話が聞こえてきた。


「おはよう。最上さん。よく眠れた?」


まだ頭がボンヤリしているのか、キョーコは頷いている。


「もうそろそろ帰ろうか?」


(えええええええ?って、敦賀君と最上さんって、一緒に暮らしてるの?)


蓮の言葉だけで光はパニック状態になった。が、実体はなんてことはなく、蓮の家とキョーコの住んでいるアパートが隣同士にあり、ただ単に帰る方向が一緒なだけなのだが、そんなことは知らない光は心の中で滂沱の涙を流した。


その間にもキョーコは机の上に広げていた問題集とノートを鞄に仕舞い込むと、蓮は自分の鞄とキョーコのを手に持ち光がいる側とは反対方向のドアから教室を出て行った。その際に、蓮がチラリと自分に視線を向けたことにパニック状態になっていた光は全く気付いていなかった。


「あっ。最上さん、先に行ってて。ちょっと忘れ物を取って来るから。」


そんな声が聞こえてきたと思ったら、蓮が光の前にやって来た。何か自分に用事でもあるのだろうかと光が首を傾げていると、これまで聞いた事のないような地の底から這うような声で蓮は囁いた。


「盗み見とは感心しないな。でも話が早い。彼女に手を出そうとものならどうなるか分かるよね?」


顔は笑っているのに目が全く笑っていない蓮を見て、光は命の危険を敏感に察知した。

そして何度も何度も頷いた。


その光の様子を満足そうに眺めると、蓮は、「理解してくれた様で良かった。」

と満足そうに言うと、踵を返してキョーコの元へと歩いて行った。


蓮がいなくなってからも、友人である慎一と雄生が探しに来るまで、腰を抜かして廊下にへたり込んでいた。


頑張れ、石橋光。


君の未来はきっと明るい!!・・・・・・はず。


《おわり》


こんな話書いてますが、リーダー好きですよ?