君といつまでも8 ~カレンダーイラストからの妄想~ | お気楽ごくらく日記

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白泉社の花とゆめ誌上において連載されている『スキップ・ビート』にハマったアラフォー女が、思いつくままに駄文を書き綴っています。

                ~回想 蓮編④~

「それからな、最上君の母上の居場所が掴めない。」

社長のその言葉に、その場にざわめきが走った。


この男性(ヒト)をもってして、居場所が掴めないとはどういうことなんだ?

おそらく、この場にいた全員の思いが一緒だったに違いない。その証拠に、


「それは、・・・どんな圧力を掛けても・・・と言うことですか?」恐る恐る椹主任が聞いていた。


珍しく眉間にしわを寄せながら、社長は「ああ。」と頷いた。


彼女を無理やり京都に帰らせた挙句、自分自身はどこかに雲隠れなんて・・・


俺は我慢できずに、椅子から立ち上がりエレベーターに向かおうとしたのだが・・・


社長に鋭い声を投げかけられた。「何処に行く気だ?」


「どこって・・・彼女を迎えに行くに決まってます!!」


ふうっと、溜息を付いた社長に、「お前は”誰”だ?」と訊ねられた。


恐らく、その場にいた誰もがそれをどうすべきかで気を揉んでいた。社さんなんかは、すまなさそうな顔をして俺を見つめていた。


ギリリっと歯を食いしばり、「・・・”敦賀蓮”です。」


社長は、フウと一つ息を付いてから、
「なら、最上君を迎えに行くのなら、すべきことを全てからにしろ。」


「松島君、社君。聞いての通りだ。こいつが、一刻も早く最上君の元に行けるように調整を頼む。難しい相手は、俺が何とかするから、相談に来い。」


「「はい!!早速、スケジュール調整に行ってきます。」」松島主任と社さんが慌てて立ち上がると、一礼して部屋を出て行った。


「社長、わ・・・私は何をすれば・・・」


「椹君は、何もする必要はない。ただ、どんと構えとけ。安心して、最上君がLME(ここ)に戻って来られるようにな。」


それまでの思い空気が晴れ渡っていくかのような気がした。




それから、怒涛のように1ヶ月近くが過ぎた。松島主任と社さんが頑張ってくれたおかげで、どうしても動かせない仕事もあったが、何とかそれらも全てこなし、キョ-コを迎えに行ける日が来た。


AM5時。逸る気持ちを抑え、マンションの地下駐車場に行くと、思いがけない人物たちが俺の車の所で待っていた。


「「おはようございます。敦賀さん。」」


「蓮さま、おはようですわ。」


そこには、彼女の親友の琴南さんと天宮さん、そしてマリアちゃんまでもがそこにいた。


「敦賀さん、あの子を必ず連れ戻して来てくださいね。」


琴南さんのその必死な表情に俺が頷きながら返すと、


「本当の本当にですわよ?もし、お姉さまを連れ戻せなかったら、蓮さまとは言え、末代まで祟りますわ。本気でしてよ、私。」少し物騒なセリフをマリアちゃんに吐かれ、


「ああ、敦賀さんで無理だったら、私達が乗り込んで、京子さんを連れて帰ってきますから、心置きなく当たって砕け散ってきてくださいね。私のマル秘・毒吐きノートに敦賀さんの恥ずかしいあれやこれやを書き綴って、マスコミに垂れ流しますから。」


こ・・・・・・れは、一応は激励されてるん・・・・・だよな?

言い切るには、毒を持っている言葉たちに、ああ、と何とか返事だけを返し、東京を後にした。


《つづく》

回想シーンは、今回で終了です。

次からは、一気に現在に戻ります。


蛇足・・・・蓮は、ヤッシーたちの努力のもと、今回5日オフを貰ってます(-^□^-)