倒れる人と、たくさんのありがとう | ほのぼの街のほんわか通りに、ふわっと風がふく

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笑顔がにじみ出る(はずの)
「ゆるイラスト」とともに、
なんてことはない日常をつづったエッセイ

ズンバダンス仲間の先輩方に、ランチに誘ってもらいました。久しぶりの梅田、久しぶりの都会、楽しみにしていました。

 

乗る駅が違うので、「この電車の前から2両目に乗るように」との待ち合わせの指令を受けていました。2両目を確認して一番前に並んでいたのに、入ってくる電車の勢いが強く、すぐに止まりそうにない、、、あ~、そうか、8両編成なのだと気づきました。私は6両編成の時の2両目に並んでいたのです、、、並んでいる方々の列の前を、電車と共に疾走するボサボサ髪のおばさん。何とか、お二人と、会うことができました。

 

自分では行けないようなおしゃれなレストランで、おしゃべりも弾みました。『Snow』 という写真加工アプリで撮ってもらった私の写真、、、瞼が下がった自分の写真はもう恐怖写真になっている昨今ですが、とっても可愛い! 茶色いわんちゃんみたいに写ってる! お肉料理、ソースをお皿に残していると、「これが一番お金かかってるんですから、全部食べてください」と言われ、みんなで、ソースを舐めました。

 

ランチの後は、わいわいと3番街にお菓子を買いに行ったり、抽選をしたりして、最後は私が希望した阪急百貨店のクリスマスウィンドウを見に行くことに、、、その時は、まだ、この夢のような時間が突然終わりを告げることを、知るよしもありませんでした。

 

阪急百貨店前のイリュミネーション、わ~綺麗~と見回していると、気分が突然、悪くなってきました。え? どうしよう、と思った次の瞬間、ぶっ倒れてました。朦朧としている中、「大丈夫ですか? お一人ですか? お連れの方はいらっしゃいませんか?」という声が聞こえてくる。そうか、私、ぶっ倒れたんだ、、、ふらふらと立ち上がり「連れが、どこかにいるんです」と、ちょっと離れたところにいた先輩のところへ連れて行ってもらいました。その方々、「倒れられたのですが、お尻から落ちられて、頭は打ってらっしゃいません」と説明してくださったそう。若いのに、私より、よっぽどしっかりしてらっしゃる。まだよろよろしていてしゃがみ込んでしまって、言えなかったのですが、どこのどなたかわかりませんが、ありがとうございました!

 

ランチで飲んだスパークリングワインが回ってきたのと、暑い日の日曜の梅田の人混みで、貧血を起こしたのだと思います。

 

とにかくどこかに座りたいので、阪急百貨店の中に入り、椅子を出してもらって、隅に座りました。頭を下げて座っているとそのうち良くなるのは、わかっていましたので、そばにいると主張してくださる先輩方には、そばにいられると余計に気を遣ってしんどいからと、先に帰ってもらうようお願いしました。

 

しばらくして、頭を上げて、気分が良くなっているか確かめてみました。もともとボサボサなのに頭を下げているので、ますますボウボウになっている髪の毛で、キラキラの阪急百貨店をボーっと見回すと、先輩たちが、遠くからこちらを見守ってくださってる! その上、阪急の方を送り込んでくださった、、、「保健師を呼ぶこともできますが、大丈夫ですか?」、、、別に気分が悪くなったのは阪急のせいでは、ないのに、すいません!、、、「もう少し、こうしていたら大丈夫だと思いますので、私の連れにも、もう帰ってくださいと伝えてください」とお願いしました。

 

あ~、しでかしてしまった! 皆さんに迷惑をかけている! と頭を下げて座りながら、嘆きました。なんで、こんなことが私に起こっているの! なんで私なの! なんで私なの!と、自らを憐んでいたのですが、そうか、私だから、起こっているんだと、思い出し始めました。

 

そうだ、ここ10年以上起こってないから忘れてたけど、私は、倒れる人だった、、、小学校の運動場での全校集会では、バタバタ倒れてました。高校時代の友人の私の思い出といったら、「遠足の天王寺動物園で、しゃがんでいて、先生に連れて帰ってもらっていたこと」らしい。若いとき満員電車の後、へたれ込み、何度も、駅員の人に両腕を抱えられ、駅長室で寝かせてもらい、駅員さんたちの裏話を聞いていたんだ。ロンドンでホームステイをしているとき、気分が悪いのを言い出せず、スーパーの棚の下で、うずくまっていたっけ。アメリカにいるときも、ホームパーティで友人宅で、倒れてた。せっかく連れて行ってもらったニューヨークのオペラでも、桟敷席で突っ伏してました。

 

そうだ、私は、世界中で、うずくまってるんだ! その輝かしい歴史に、「華やぐクリスマス前の日曜の梅田阪急百貨店のまばゆい正面玄関の隅でうずくまる」という偉業をつけ加えたんだ!、、、と、前向きに考えようとしましたが、自己嫌悪の巨大さには、かないませんでした。

 

その上、その自己嫌悪に追い討ちをかける事態が、私を待ち受けていました。

 

先輩方、あの後も、様子を見に戻ってくださったらしいのですが、その時は、私は、なんとか復活し、百貨店3階のトイレへ行っていました。

 

トイレを出て、トイレの横の椅子に座り、先輩方に、回復した旨のラインを送って、はたと気づきました、、、紙袋を、トイレに引っ掛けたまま、忘れて出てきている!

 

慌てて戻ったのに、もうない! 混んでいるトイレなのに、皆さん、私の忘れ物を探すのを、優しく手伝ってくださったのに、ない!

 

その紙袋には、クリスマス柄のTシャツ2枚が入っていました。先輩の方が、これからのズンバ2週、お揃いで着て踊ろうね!と、くださったもの、、、

 

せっかくの楽しいランチの日なのに、しんどくなって、「ワイン、無理に飲ませてごめんね~」と心配をかけて台無しにしてしまった上、わざわざ取り寄せてくださったTシャツを失くすなんて!、、、どう申し開きをしたらいいのか、、、もう切腹して詫びるしかない、、、

 

トイレの清掃の方が電話で問い合わせてくださいました。まだ届いていないものの、とりあえず、落とし物のところで名前を残しておくと、出てきた時に連絡もらえますよ、ということでしたので、そうすることにしました。

 

トイレを出て、離れたところで、女の方が、似たような紙袋を持って歩いて行かれるのが見えたのですが、確証もないし、追いかけていくのは、やめました。

 

3階のトイレから、地下の落とし物のところへ行くと、届いてました! きっと、あの方が、一寸早く、届けてくださったのだと思います、、、ありがとうございました!!! 切腹しないですんで、命の恩人です!

 

せっかく、阪急百貨店の地下にいるんだからパンでも買って帰ろうかと、「ドンクのお店はありますか?」と別の店の店員さんに聞くと、自らの携帯で調べてくださって、「すいません、うちにはなく、阪神百貨店の方にあるようです」と教えてくださいました。

 

たくさんの方々の優しさに包まれた1日でした。

 

Tシャツが戻ってきてくれて安心して、阪急百貨店のクリスマスウィンドウを、ゆっくり楽しみました。

 

NHKニュースで「恋人たちや家族連れで賑わっていた表参道のイリュミネーション」と言っていましたが、別に、ひとりでそこにいてもいいじゃないか! 「大勢の人で賑わっていた表参道のイリュミネーション」でいいじゃないか! 「イリュミネーションは、恋人や家族と楽しむもの」という刷り込みは、もういいよ~

 

帰りの電車は、JR、近鉄とも、ホームに行くと、電車が入ってきて、混んでいたのに、座ることができ、駅長室のお世話にならずにすみました。感謝です。

 

翌日、右お尻と右ひじが痛み出しました。右ひじちゃんが、体を張って、頭を守ってくれたんだね、、、ありがとう!