言葉がわからなくてもわかる | ほのぼの街のほんわか通りに、ふわっと風がふく

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笑顔がにじみ出る(はずの)
「ゆるイラスト」とともに、
なんてことはない日常をつづったエッセイ

ピー兄ちゃんの真似するんだから!
6.5.14

 いつ何時でもお兄ちゃん猫のぴーちゃんの真似をしたい一心のおーくん。ぴーちゃんが何かしてる、何かしてもらってる!と察するや、Me too! Me too! Me too! と、かわいい鼻息荒くトコトコトコトコ!と小走ってきます。

 ある日、ぴーちゃんを立って抱っこしていたときのこと。足元でおーくんが Me too! していることに気づかず私が足を動かしてしまったものですから、もう大変。上を下への大騒ぎ、集団パニックに陥りました。足を踏まれたおーくんがふんぎゃー! その声に慌てふためいたぴーちゃんの爪が私の腕にささり私があぅ~~! その声で一層激しく暴れるぴーちゃんが逃げようと前足を強く引っ込めれば引っ込めるほど、かぎ型の爪がぐいぐい私の腕に食い込んで痛いこと痛いこと。半狂乱ながら接続部分を見つめるも、どうしようもない私とぴーちゃん。ようやく前足を持ってはずし、ぴーちゃんを降ろし、さらに大々的におぞましく痛がる私。その恐怖で一度は一目散に逃げ去ったぴーちゃんでしたが、すかさず走り戻ってきてうずくまる私に必死にスリスリしてきました。あれは「ごめんね」って言っていた、絶対に。

 言葉はわからなくても絶対にそう言っていた、で、こんなことを思い出しました。むかしむかし、私が『トーマスクックの時刻表』を、友人が『地球の歩き方』を片手にユーレイルパスで一緒にヨーロッパを回ったことがあります。行き当たりばったりの旅でしたので、現地についてからホテルを探していました。うかつにも600万人以上の人が集まるというビール大祭オクトーバーフェストの真っただ中にそうとも知らずミュンヘンにのこのこ行ってしまったときは、ツーリストインフォメーションに並んで空いているホテルを探してもらわなければなりませんでしたが、あとは問題なく見つかっていました。ですので、とあるスイスの田舎町でも、こ~んなところで何の問題があるってんだ、あるなら見せてみろとすっかりなめてかかっていたわけなのですが、意外な盲点があったのです! 「今週はアーミーが駐屯しているからどこもいっぱいよ」、、、くっ、アーミーとは気がつかなんだ、、、最初に行った宿のおばさんに「うちで唯一空いているベッドひとつの部屋でがまんしときなさい」と言い放たれましたが、「他をあたってみます」と強気で断り出ていきました。結局本当に他はどこも満室で、トボトボとその最初の宿にしっぽを巻いて戻っていくところを、ちょうど外にでかけていて帰ってくるおばさんに見つかりました。さっきは英語で言ってくれてたけど、そのときはドイツ語だったかわからない言葉で何かを叫びながら近づいてきました。「ほ~~~ら、言わんこっちゃない。やっぱりどこも空いてなかったんでしょ~」とおばさんはそう叫んでいた、絶対に。私たちふたりは「はい、おっしゃるとおりでした」とうなだれるばかりでした。