神経科学:CD22の阻害は加齢脳でミクログリア機能を改善する | Just One of Those Things

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2019年度の15号目のネイチャーのハイライトより。

 

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神経科学:CD22の阻害は加齢脳でミクログリア機能を改善する
Nature 568, 7751
2019年4月11日


J Pluvinageたちは今回、CRISPR–Cas9ノックアウトスクリーニングとRNA塩基配列解読(RNA-seq)を組み合わせて、加齢に伴って異なる発現を示す、ミクログリアファゴサイトーシスの遺伝的修飾因子CD22を突き止めた。CD22は、シアル酸の抗ファゴサイトーシス効果を仲介する。阻害抗体や遺伝的除去によりCD22を阻害すると、in vivoでミエリンの残屑やアミロイドβオリゴマー、α-シヌクレインフィブリル(原繊維)の除去が促進された。CD22の長期的な阻害は、加齢や疾患と関連したミクログリアの転写シグネチャーを部分的に回復させ、加齢マウスで認知機能を改善した。これらの知見は、加齢に関連したミクログリア障害の機構、および加齢脳で恒常性を回復させるための有望な戦略を示している。


ARTICLE p.187
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本論文においては、日本語版本誌では、「神経科学:CD22の阻害は加齢脳におけるミクログリアの恒常的ファゴサイトーシスを回復させる」と題されています。

 

フルテキストを直訳しますと・・・

 

CD22遮断は、老化した脳の恒常性ミクログリア食作用を回復させます
 

となり、Abstractを直訳しますと・・・

 

ミクログリアは、タンパク質凝集体と細胞破片の食作用によるクリアランスを通じて中枢神経系の恒常性を維持します。この機能は、認知機能の低下を伴う老化や神経変性疾患の間に悪化します。ただし、障害のミクログリア恒常性機能のメカニズムとこの機能を復元する認知効果は不明であります。 CRISPR–Cas9ノックアウトスクリーンとRNAシーケンス分析を組み合わせて、ミクログリア食作用の加齢に伴う遺伝子修飾因子を発見しました。これらのスクリーニングにより、標準的なB細胞受容体であるCD22が、老化したミクログリアでアップレギュレートされる食作用の負の調節因子として同定されました。 CD22はα2,6-結合シアル酸の抗食作用を媒介し、CD22の阻害はinvivoでミエリン破片、アミロイド-βオリゴマーおよびα-シヌクレイン原線維のクリアランスを促進します。 CD22機能をブロックする抗体の中枢神経系への長期送達は、ミクログリアを恒常性転写状態に向けて再プログラムし、老齢マウスの認知機能を改善します。これらの発見は、加齢に伴うミクログリア障害のメカニズムと、加齢した脳の恒常性を回復するための戦略を解明しています。
 

となります。

 

フルテキストは下記です。詳細が必要な方はご購入をお願いいたします。

 

Full Text:ARTICLE p.187

CD22 blockade restores homeostatic microglial phagocytosis in ageing brains

 

Data availabilityによりますと・・・

 

RNA-seqデータセットは、アクセッション番号GSE127542およびGSE127543で遺伝子発現オムニバス(GEO)にオンラインで寄託されています。
 

 

究極に溜まりに溜まりまくっているネイチャー。次回は、「分子生物学:分解に依存したロバスト性」を取り上げます。

 

 

※巡回等ブログ活動が大変遅れておりますが、主治医の指示に従っております。相変わらず活動が大変遅れますが、体調維持を務めておりますのでご安心くださいませ。