免疫学:T細胞寛容におけるNR4A1の役割 | Just One of Those Things

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前回に引き続き、2019年度の13号目のネイチャーのハイライトより。
 

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免疫学:T細胞寛容におけるNR4A1の役割
Nature 567, 7749
2019年3月28日


T細胞寛容の基盤となる分子機構は完全には理解されていない。今回C Dongたちは、T細胞寛容において選択的に発現が上昇する遺伝子として、転写因子Nr4a1を特定している。NR4A1を欠損するとT細胞のエフェクター機能が高まり、その結果として自己免疫と腫瘍免疫が増強されることが明らかになった。NR4A1はAP-1結合部位に結合し、AP-1の機能を阻害することによってエフェクター遺伝子の発現を抑制する。この研究は、NR4A1が将来的な治療介入の標的となる可能性を示唆している。


LETTER p.525
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T細胞 | 生物分子科学科 | 東邦大学

 

 

 

T cell - Wikipedia(英文)

 

 

本論文においては、日本語版本誌では、「免疫学:ゲノム規模の解析からNR4A1がT細胞機能不全の主要メディエーターであることが明らかになった」と題されています。

 

フルテキストを直訳しますと・・・

 

全ゲノム解析により、NR4A1がT細胞機能障害の主要なメディエーターであると特定
 

となり、Abstractを直訳しますと・・・

 

T細胞は、自己抗原に遭遇したり、慢性感染症や腫瘍の微小環境に曝されたりすると機能不全になります[1]。 T細胞の機能は、組み合わせの共刺激シグナルによって厳密に調節されており、負の共刺激が優勢になると、T細胞の機能障害が生じます[2]。ただし、この機能不全の根底にある分子メカニズムは不明であります。ここでは、マウスのin vitro T細胞寛容誘導システムを使用して、耐性T細胞におけるゲノム全体のエピジェネティックおよび遺伝子発現機能を特徴付け、それらがエフェクターおよび制御性T細胞とは異なることを示します。特に、転写因子NR4A1は、耐性T細胞で高レベルで安定して発現しています。 NR4A1の過剰発現はエフェクターT細胞の分化を阻害しますが、NR4A1の削除はT細胞の耐性を克服し、エフェクター機能を強調し、腫瘍や慢性ウイルスに対する免疫を高めます。機構的には、NR4A1は優先的に転写因子AP-1の結合部位に動員され、AP-1機能を阻害することによりエフェクター遺伝子の発現を抑制します。 NR4A1結合はまた、ヒストン3のリジン27(H3K27ac)でのアセチル化を促進し、耐性関連遺伝子の活性化につながります。したがって、この研究は、NR4A1をT細胞機能障害の誘導における主要な一般的調節因子、および腫瘍免疫療法の潜在的な標的として特定します。
 

となります。

 

フルテキストは下記です。詳細が必要な方は行動をお願いいたします。

 

Full Text:LETTER p.525

Genome-wide analysis identifies NR4A1 as a key mediator of T cell dysfunction

 

 

Data availabilityによりますと・・・

 

ChIP-seqおよびマイクロアレイデータは、アクセッションコードGSE96969とともにGEOに登録されています。すべてのマイクロアレイおよびChIP–seqプロファイリングデータと分析は、補足表1–7にもあります。
 

 

究極に溜まりに溜まっているネイチャー。次回は、「免疫学:NR4A欠損T細胞は腫瘍負荷を軽減する」を取り上げます。

 

 

※新型コロナウイルス到来以来、データの洪水に埋もれており、体調を崩していたこともあって、まともに巡回等ができておれず申し訳ありません。主治医の指示に従って休み休み動いておりますので、ご心配もおかけしておりますが、無理せず休んでおりますので、ご安心くださいませ。

 

 

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