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昨日、狂犬病の予防接種を取り上げたので、引き続き、フィラリア対策を取り上げます。

 

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獣医が教える愛犬のフィラリア対策~感染源、予防薬の種類、予防のポイントは?~
2019年3月15日(金) 8:10配信 いぬのきもちWeb編集室
 
犬が注意したい病気「犬フィラリア症(犬糸状虫症)」。今回はその原因や症状、予防対策法について解説します。最悪の場合、死に至ることもありますが、正しい方法で予防すればほぼ100%かからない病気です。正しい知識を身につけ、予防に役立てましょう。
 
■犬フィラリア症(犬糸状虫症)とは?
 
「犬フィラリア症(犬糸状虫症)」(以下、フィラリア)とは、フィラリアという寄生虫が犬の心臓や肺動脈に寄生することで発症する病気で、その感染源は“蚊”です。デング熱を媒介する蚊はヒトスジシマカ1種類ですが、フィラリアを媒介する蚊は16種類ほどいて、ヒトスジシマカやアカイエカが代表的でしょう。犬がフィラリアに感染すると、心臓や肺の働きが低下し、治療が遅れると最悪の場合、死に至る怖い病気です。
 
フィラリアの感染サイクルは以下の通りです。
 
フィラリアの感染サイクル
① フィラリアに感染した犬を蚊が吸血する
② 蚊は自分の体内にミクロフィラリアを宿し、幼虫まで成長させる(約2週間)
③ フィラリアの幼虫が体内にいる蚊がほかの犬を吸血する
④ 吸血された犬の体内にフィラリアの幼虫が入る(感染)
⑤ 感染後約2カ月で幼虫が血管に入る
⑥ 感染後約6カ月で成虫となり、心臓に到達してミクロフィラリアを産む
 
このように①~⑥を繰り返すことで、蚊は犬から犬へとフィラリアを運び、感染を広げていくのです。死亡することもある病気ではありますが、フィラリアは薬などで予防することができます。
 
■フィラリアの予防法とは?
 
フィラリアの予防方法
 
フィラリア予防薬は、犬の体内に入ってから1カ月くらい経ったフィラリアの幼虫を駆除するので、蚊の発生後1カ月~活動を終えた1カ月後までが予防期間の目安です。予防薬にはさまざまなタイプがあるので、価格や与えやすさのほか、ノミ・マダニ予防との組み合わせも考慮し、主治医とよく相談して選びましょう。
 
フィラリア予防薬の種類
 
【経口薬(錠剤・粉薬)】
ほかのタイプに比べて単価が低め。腸内寄生虫を同時に予防できる製品もあります。基本的に、月1回の投与が必要です。
 
【滴下薬】
首に滴下するだけなので、手軽で簡単なのが特徴でしょう。ノミやダニも同時に予防できる製品が一般的です。基本的に月1回の投与が必要ですが、犬によっては首につけられるのを嫌がることもあるようです。
 
【ジャーキー・チュアブル】
犬が喜ぶ味と食感なので、おやつのように与えられます。同時にノミ・マダニや腸内寄生虫を予防できるものも。こちらも基本的に月1回の投与が必要です。
 
【注射】
上記3つのタイプと異なり、年に1回の接種で効果が持続します(半年に1回のタイプもあり)。そのため、毎月の投与を忘れる心配はありませんが、予防できるのはフィラリアのみです。注射が嫌いな犬には接種させるのに苦労することもあります。
 
■フィラリア対策の重要ポイント
 
ではここで、フィラリア対策の重要ポイントについてご紹介します。
 
フィラリアの予防期間
 
注射以外の月に1回投与するタイプのフィラリア予防薬の場合は、基本的に“フィラリアに感染するリスクがある期間”だけ使用します。ただし、蚊の成虫を見かける期間=予防薬の使用期間ではないので注意してください。ちなみに東京都の場合は、4~5月から12月までがフィラリアの予防期間とされることが多いようです。ただし、地域差があるので、動物病院で相談してみましょう。
 
フィラリア予防薬はフィラリアの幼虫が犬の体内である程度成長した段階で効果を発揮するため、蚊の成虫を見かけなくなった1カ月後まで続けて使用することが大切です。最後の1回を忘れないようにしてください。
 
フィラリアの予防薬を1週間以上忘れたら獣医師に相談を
 
毎月同じ日の投薬をうっかり忘れてしまったとしても、効果はちょうど1カ月でなくなるわけではありませんが、気づいた段階で動物病院で相談するようにしてください。
 
予防薬と併用して虫よけスプレーなどを取り入れる方法も
 
フィラリアの予防は動物病院で処方される予防薬のみでも十分ですが、アロマやハーブを使った犬用虫よけスプレーや、蚊取り線香などを併用する飼い主さんもいます。ただし、人用の虫よけスプレーは、犬にとって刺激が強い場合があります。虫よけスプレーを取り入れる場合は、必ず「犬用」や「ペット用」と記載されたものを選んでください。
 
■フィラリア感染の血液検査は必ず受ける
 
フィラリア予防薬を投与・処方する際には、必ずフィラリア感染の有無を調べる血液検査を行います。「毎月確実に予防薬を投与しているから、検査なんて必要ないんじゃないの?」と感じる飼い主さんもいるかもしれませんが、フィラリアに感染している犬に通常の予防薬を飲ませると、ショックなどを起こすおそれがあります。予防薬の投与を始める前には、毎年、獣医師の診察を受け相談してください。
 
■もしも愛犬がフィラリアに感染してしまったら?
 
犬がフィラリアに感染すると、以下のような症状が見られます。
 
【初期・中期症状】
 
慢性的に咳が出る
食欲不振/元気消失
散歩や運動を嫌がる
毛づやが悪くなる
腹水がたまる
 
ただし、初期の段階では症状が出ないことがほとんどで、血液検査などを受けた際に、発覚するケースが多いようです。この場合は、予防薬の長期投与という治療法を行うことがあります。中期になると、ごく一般的な飼い主さんでも異変に気がつくことが多く、治療法は症状や寄生している成虫の数などにより、外科的療法、内科的療法と選択肢が変わります。
 
駆虫薬の投与を行う場合は、成虫が心臓で死滅して血管につまるなどさまざまなリスクがあるため、これに耐えられると判断された犬だけが治療の対象になります。駆虫薬を使えない場合は、予防薬の長期投与による治療を行うことがありますが、それも危険な場合は「対処療法」を行うことも。この場合、腹水を抜いたり、咳を抑えたりしながら経過観察します。自宅では安静に過ごし、食事管理も徹底します。
 
【末期症状】
 
痩せる
呼吸が苦しくなる
咳をした際に血を吐く/嘔吐する
腹水がたまる
運動時に失神する
さまざまな臓器が機能不全になる
血尿が出る
貧血で歯肉が白くなる
 
フィラリア症はフィラリアに感染してからの期間、寄生したフィラリアの数などで異なり、寄生数が少ない場合や初期は無症状で気づかないこともありますが、「大静脈症候群」と呼ばれる、急性症状を起こすこともあるので注意してください。
 
■「大静脈症候群」とは?
 
「大静脈症候群」とは、肺動脈や右心室に寄生していたフィラリアの成虫が、右心室から右心房、さらに大静脈へと移動し、「三尖弁閉鎖不全」が起こり、急激に症状が悪化した状態です。少しでも治療が遅れると急死することもあるので、すぐに動物病院へ行ってください。
 
■フィラリアは予防が重要!
 
繰り返しになりますが、フィラリアは予防薬によってほぼ100%予防できる病気です。愛犬のためにも予防薬の投与は正しい方法で行い、獣医師に指導された期間与えるようにしてくださいね。
 
参考/「いぬのきもち」2016年5月号『お出かけが多くなる季節だから予防は万全に!初夏のキケンな虫・寄生虫に注意して!』(監修:サエキベテリナリィサイエンス代表 佐伯英治先生)
   「いぬのきもち」2017年3月号『ワクチンの検診について、正しく理解しよう 春の予防医学講座、開講します!』(監修:聖母坂どうぶつ病院獣医師 鵜飼佳実先生)
   「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『【獣医師が解説】犬のフィラリア症の症状と治療法|ステージ別に解説』(監修:いぬのきもち相談室獣医師)
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/hasebe
 
いぬのきもちWeb編集室
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