分子生物学: 翻訳と同時に起こる複合体組み立て | Just One of Those Things

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前回に引き続き、38号目のネイチャーのハイライトより。

 

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分子生物学: 翻訳と同時に起こる複合体組み立て
Nature 561, 7722
2018年9月13日    

新たに作られたばかりのタンパク質は、リボソームから離れるとすぐに集合してヘテロオリゴマー複合体を形成することが多いが、部分的に折りたたまれて疎水性表面が露出しているサブユニットが凝集したり、品質管理機構によって分解されたりするのを防ぐ仕組みは、謎のままだった。今回B Bukauたちは、リボソームのプロファイリングを行って、酵母細胞でこういった複合体が組み立てられる瞬間の新生ペプチド鎖の長さを測定し、調べた12の例では翻訳と同時に組み立てが行われるという機構が主流であることを見いだした。著者たちはさらに、これが一方向だけに進む過程であり、つまりある1つのサブユニットが完全に合成されると、それがシャペロンタンパク質の助けを借りて複合体組み立ての足場として機能するようになって、凝集しやすかったり、分解されやすかったりするサブユニットを保護することを明らかにした。

Letter p.268
News & Views p.186
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この論文はネイチャーのニュースにも取り上げられました。
 
日本語版の本誌では「分子生物学:作られると同時に集合するタンパク質」と題され、「今回、酵母細胞のタンパク質複合体の大半が、サブユニットが完全に形成される前に集合することが分かった。この機構は、有害なタンパク質凝集体の形成を妨げている可能性がある。」と示されています。
 
フルテキストを直訳しますと・・・・
 
タンパク質複合体はそれらが作られているように集合する
 
となり、見出しは・・・
 
ある研究によれば、酵母細胞中の大部分のタンパク質複合体はサブユニットが完全に形成される前に集合する。このメカニズムは有毒なタンパク質凝集体の形成を妨げるかもしれません。
 
となります。
 
フルテキストは下記です。
 
Full Text:News & Views p.186
 
本論文においては、日本語版の本誌では「分子生物学:真核生物でのタンパク質複合体の組み立ては翻訳と同時進行であることが、リボソームのプロファイリングにより明らかになった」となっています。
 
見出しを直訳しますと・・・
 
共翻訳アセンブリはSaccharomyces cerevisiaeにおけるオリゴマー複合体形成の一般的機構であり、1サブユニットはパートナーサブユニットの翻訳のための足場として役立つ
 
となります。
 
フルテキストを直訳しますと・・・
 
リボソームプロファイリングにより明らかにされた真核生物における蛋白質複合体の同時翻訳集合
 
となり、Abstractを直訳しますと・・・
 
非生産的な相互作用が誤った折り畳み、凝集および分解を引き起こす可能性があるため、新たに合成されたタンパク質の天然状態への折り畳みは、混雑した細胞環境内での大きな課題です。細胞は、合成をポリペプチドの折り畳みと結び付けることによって、そして分子シャペロンを使用して折り畳みを共翻訳的に保護することによって、この課題に対処している2。しかし、ほとんどの細胞内プロテオームはオリゴマー集合体3を形成しますが、折り畳みの最終段階、すなわちポリペプチドの複合体への集合についてはほとんど知られていません。原核生物において、概念実証研究は、ヘテロ二量体ルシフェラーゼの組み立てが、ポリシストロニックmRNA4上にコードされたサブユニットの空間的に制限された翻訳によって促進される組織化された共翻訳プロセスであることを示した。しかし真核生物では、ポリシストロン性mRNAの希少性および異なるシャペロンコンステレーションのような根本的な違いにより、集成も翻訳と協調するかどうかという問題が生じる。ここではリボソームプロファイリングを使用して真核生物におけるタンパク質複合体のアセンブリの体系的かつ機構的な分析を提供します。 Saccharomyces cerevisiaeの12のヘテロオリゴマータンパク質複合体からの新生サブユニットのin vivoでの相互作用を、残基に近い分解能で決定した。 9つの複合体が共翻訳的に集まることがわかりました。共翻訳相互作用を示さない3つの複合体は、専用の集合シャペロン5,6,7によって制御されています。同時翻訳アセンブリはしばしば一方向に起こり、1つの完全に合成されたサブユニットがその新生パートナーパートナーサブユニットと係合し、それによってその凝集傾向を打ち消す。同時翻訳サブユニット会合の開始は、リボソームトンネル出口での新生相互作用ドメインの完全曝露と直接一致する。リボソーム関連Hsp70シャペロンSsb8の作用は集合と協調するSsbは、部分的に合成された相互作用ドメインと一時的に係合し、次いでパートナーサブユニット会合の開始前に解離し、おそらくは時期尚早な集合体相互作用を防止するためである。我々の研究は、共翻訳サブユニット会合が酵母におけるヘテロオリゴマーの集合のための優勢なメカニズムであることを示し、そして翻訳、折り畳みおよびタンパク質複合体の集合が真核生物における統合されたプロセスであることを示している。
 
となります。
 
フルテキストは下記です。詳細が必要な方はご購入おねがいします。
 
Full Text:Letter p.268
 
38号目のネイチャーのハイライトはこれで終わりとなります。
 
究極に溜まりに溜まったネイチャー。次回は39号目のネイチャーのカバーストーリーより、「Cover Story: 流れによる成長:脊椎動物の胚は組織がガラスのように「融解」して形成される」を取り上げます。
 
 

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