物性物理学: パターンの記憶には2つの秩序が必要 | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

前回に引き続き、35号目のネイチャーのハイライトより。

 

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物性物理学: パターンの記憶には2つの秩序が必要
Nature 560, 7719
2018年8月23日    

マルチフェロイック物質は、強的秩序(すなわち強磁性、強誘電性、強弾性)のうち2種類以上を示す物質である。これらの秩序を結び付けることで、磁場による電気分極の操作や、印加電圧によるスピン磁気モーメントの操作が可能になり、調節可能な多機能デバイスの開発に利用できる可能性がある。今回M Fiebigたちは、既存のドメインパターンを変化させずにマルチフェロイック物質の電気分極や磁気分極を反転できることを示している。今回の知見は、ドメインパターンの記憶には第二の強的秩序が必要であり、もう1つの強的秩序によって全体の符号が決定されることを示しているので、強的秩序を1つしか持たない物質に関する常識とは大きく異なっている。この研究は、電気磁気的相制御を超えて多重秩序パラメーターの機能性を実現させ得る方法を例示するものである。

Letter p.466
News & Views p.435
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物性物理学より、誘電性ドメインと磁性ドメインの反転が可能となりました。
 
ある特定の物質は、電気双極子と磁気モーメントの両方を持ちます。今回、こうした性質が、これまで知られていなかった方法で結び付けられ、高度な機能性がもたらされる可能性が実験的に実証されました。
 
この論文は、ネイチャーのニュースにも取り上げられました。
 
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物性物理学:ドメインパターンの電気磁気的反転
Nature 560, 7719 |  Published: 2018年8月23日 |

不均一物理状態の反転は、科学技術において非常に重要である。例えば、能動的雑音低減技術では、発生源の雑音と相殺的に干渉する逆位相の音波の発生を用いており、磁場パルスを用いるスピン系の発展の反転は、磁気共鳴トモグラフィーを可能にしている。これらの例とは対照的に、物質中の強磁性ドメインや強誘電性ドメインの空間分布を反転させることは、驚くほど困難である。外場の印加により磁化や分極を偏極させることによって単一ドメイン状態は実現するが、1つの走査探針を用いてドメインを1つずつ反転させる操作は実用的でない。今回我々は、電気磁気効果を示す物質Co3TeO6における強磁性ドメインパターンとマルチフェロイック物質Mn2GeO4における強誘電性ドメインパターンの一斉反転について報告する。これらの物質では、磁場の印加によって各強磁性ドメインの磁化または各強誘電性ドメインの分極が反転するが、各ドメインの形状は完全に保持される。ランダウ理論によると、この種の電気磁気的反転は複雑な秩序を示す物質に共通であり、1つの秩序パラメーターがドメイン構造の記憶を保持し、別の秩序パラメーターが全体の符号を決定する。ドメインパターンの反転は、複数の秩序パラメーターが結合したマルチフェロイック物質などの系において、これまで注目されていなかった効果の一例にすぎない。従って、こうした効果の研究を推し進めることによって、マルチフェロイック物質における新たな機能レベルに向けた進展が期待される。
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・・・ということで、本日は時間的な関係もあり簡単に済ませます。一言でいえば、医療を進展させるものになろうかと思われます。
 
ホントにホントに、溜まりに溜まった恒例のネイチャー。次回は、古生物学より、 真のカメ類はいつ出現したのか、を取り上げます。
 
 
※今からまわります。本日中にまわりきれず、日付を超えるかもしれません。その時は申し訳ございません。
 
 

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