細胞生物学: 作用中のダイナミン | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

前回に引き続き、33号目のネイチャーのハイライトより。

 

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細胞生物学: 作用中のダイナミン
Nature 560, 7717
2018年8月9日    

大型GTPアーゼのダイナミンファミリーは、分割される膜部位の周りに集まって輪状のポリマーを形成し、これを引き絞って生じた細い「首」の部分を切断することで膜の分裂を引き起こす。今回、ヌクレオチドが結合した状態のヒトのダイナミン1の、3.8 Å分解能でのクライオ(極低温)電子顕微鏡構造が得られ、エンドサイトーシスの際に起こる膜の分裂過程の分子レベルの詳細が示された。J Hinshawたちは、膜に付着したダイナミンポリマーの構造を報告しており、これによってダイナミンがそのプレクストリン相同ドメインを介して脂質二重層に結合し、GTPアーゼドメインを介して自己集合することが、新たに明らかになった。このような結合や集合はBSE(bundle signalling element)領域によって助けられていて、BSEはGTPアーゼドメインをダイナミンの他の部分と結び付けている。今回得られたデータからは、膜を引き絞る原動力となっていると思われるダイナミンのコンホメーション変化も示された。

Letter p.258
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いずれ消えると思うので、最後に転載します。
これもいずれ消えると思われると思うため、最後に転載します。
 
「ダイナミン1」は通常「ダイナミン」としてネット上にあり、「ダイナミンII」も研究が行われています。
 
CSTジャパン - リン脂質結合: PH ドメイン(領域)(プレクストリン相同ドメイン)
これもネイチャーですね・・・。最後に転載します。

【Varp はRab40C のGTP アーゼドメインに結合しますので、SOCS ボックスを欠損させたΔSOCS 変異体でも野生型と同じようにVarp との結合が観察されます。】

T 細胞分化における非定型 G タンパク質 RhoH The(PDF)

【39 図 2 非定型 Rhoファミリー G タンパク質の構造 非定型 Rho ファミリー G タンパク質のドメイン構造を一覧にしてある.Rac1は古典的 G タンパク質であり,比較のために示し てある.グレー部分は GTP アーゼドメインであるが】・・・とあるので図が見れます。


「BSE(bundle signalling element)領域」については、BSE自体がまだ集約されていません。

 

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細胞生物学:脂質膜上で集合するダイナミンポリマーのクライオ電子顕微鏡構造
Nature 560, 7717 |  Published: 2018年8月9日 |

膜の分裂は、細胞膜の調節と再編成における基本的な過程である。ダイナミンは大型のGTPアーゼで、出芽小胞の根元の周囲を囲むように集まり、形成された輪を引き絞って小胞を切り離すことにより膜分裂を仲介している。今回我々は、ヒトダイナミン1からなり、膜に付着しているらせん状ポリマーについて、GMPPCPと結合した状態の3.75 Åの分解能でのクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を報告する。この構造から、ダイナミンポリマーのらせんの対称性が明確になり、オリゴマーの接触面の位置が決められ、これは細胞を用いたエンドサイトーシスアッセイによって確かめられた。脂質を含まない四量体型のダイナミンと比べると、膜に付着したダイナミンはそのプレクストリン相同ドメイン(PHD)を介して脂質二重層に結合し、グアニンヌクレオチド結合(GTPアーゼ)ドメインを介して、らせんの段に対して直角方向に自己集合している。膜とらせん状集合体との間の結合は、GTPアーゼドメインをダイナミンの他の部分と結び付ける働きをしているBSE(bundle signalling element)の強い湾曲によって調整されていることは重要である。BSEのこのコンホメーションは、らせんの段間のGTPアーゼ接触面をまたいで非対称であり、これまで知られているヌクレオチド結合状態のダイナミンのどれと比較しても独特である。この構造から、BSEのこのような湾曲は、GTPアーゼ二量体の結合から生じた力によるもので、この力は柄状の構造(ストーク)を介してPHDと脂質膜に伝わると考えられる。BSEのこの急角度の湾曲を破壊するような変異があると、エンドサイトーシスが妨げられる。また、強く引き絞られたダイナミンポリマーの分解能10.1 Åのクライオ電子顕微鏡マップも得られ、BSEとGTPアーゼドメインの局所的なコンホメーション変化(GTP加水分解によって引き起こされ、膜を引き絞る原動力となる)が明らかになった。まとめると、これらの結果は脂質膜でのダイナミンの作用機構の構造基盤を示している。
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オリゴマー - Wikipedia

オリゴマーとは - コトバンク

 

以下に、参考文献として挙げたネイチャーの文献を転載していきます。

 

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細胞: ダイナミンの構造と機能
Nature 477, 7366
2011年9月29日

ダイナミンはGTPアーゼで、クラスリンを介するエンドサイトーシスの際に小胞の切り離しを触媒する。今回、共にダイナミンの構造を調べた2つの研究により、GTPアーゼドメインとBSE(bundle signalling element)、柄状の構造(ストーク)、プレクストリン相同ドメインを含むダイナミン1の結晶構造が明らかになった。ダイナミン様タンパク質は広く存在する膜構造形態調節因子で、これらの結晶構造からは、ダイナミン1の自己集合機構や膜の切断機構についての手がかりが得られる。
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続きます。
 
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構造生物学:ダイナミン四量体の結晶構造
Nature 525, 7569 |  Published: 2015年9月17日 |

機械化学タンパク質であるダイナミンは、多様な細胞過程で膜を成形し、変形させる高分子量GTPアーゼに属するダイナミンスーパーファミリーの典型である。ダイナミンは細胞質ゾルでは主に四量体を形成していて、これらがクラスリン被覆小胞の頸部でオリゴマーを形成し、膜を引き絞ってくびり切るのに関わっている。以前の研究で、ダイナミン二量体の構造が報告されたが、ダイナミン集合に関わる分子的決定因子やその調節についてはよく分かっていなかった。今回我々は、ヌクレオチドを結合していない状態のヒトダイナミン四量体の結晶構造を示す。構造データと変異研究、オリゴマー形成測定や分子動力学シミュレーションのマルコフ状態モデルを組み合わせて、ダイナミンのオリゴマー形成を分子内自己阻害的相互作用の解除と結び付ける機構が考えられた。我々は、変異によって四量体形成、および自己阻害が妨害され、これが筋力低下を伴う先天性ニューロパチーであるシャルコー・マリー・トゥース病と中心核ミオパチーをそれぞれ引き起こす仕組みを明らかにした。四量体の屈曲した形状によって、ダイナミンが決まった直径の右巻きらせんオリゴマーへと集合する仕組みが説明され、これは膜を引き絞る際のダイナミンの機能に直接関係している。
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続きます。
 
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細胞:新規なプレクストリン相同ドメイン相互作用を介した、プロテアソームにおけるユビキチンドッキング
Nature 453, 7194 |  Published: 2008年5月22日 |

標的タンパク質の分解は主にユビキチン-プロテアソーム経路で行われる。この経路では、基質となるタンパク質にはプロテアソームによる認識を行うための目印としてユビキチン鎖が共役結合する。プロテアソームがどのようにして基質を認識するのかは現在のところ不明だが、それは、プロテアソームに固有のユビキチン受容体としてはっきりしているのはRpn10/S5aだけで、これは出芽酵母のユビキチン媒介タンパク質分解に必須ではないからである。以前に我々は、9個のサブユニットからなるプロテアソーム基底部の成分であるRpn13がユビキチン受容体として働くことを報告し、脱ユビキチン化酵素Uch37/UCHL5をプロテアソームにドッキングさせるというRpn13の既知の役割を補完した。本論文では、結晶学データとNMRデータを合わせてRpn13のユビキチン結合機構を示す。我々は、Rpn13の単体とユビキチンとの複合体の構造を決定した。複合体から、二次構造要素ではなくループがユビキチン捕捉に用いられるという新規なユビキチン結合モードが明らかになった。Rpn13がプロテアソームのユビキチン受容体という役割をもつことは、Rpn13がユビキチンとプロテアソームのRpn2/S1に同時に結合できることからも裏付けられた。また我々は、Rpn13とジユビキチンの複合体のモデル構造を示す。これによって、Rpn13のユビキチン受容体としての役割がUch37による基質の脱ユビキチン化とどのように共役しているかが理解できる。
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以上。

 

溜まりに溜まった恒例のネイチャー。次回は、分子生物学より、哺乳類ミトコンドリアでの翻訳開始機構についての手掛かり、を取り上げます。

 


※多忙につき、相変わらずブログでの対応が遅れていますことを、心からお詫び申し上げます。
 

 

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