炭素循環: 土壌炭素の大気への放出量が1990年以降増大している | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

前回に引き続き、32号目のネイチャーのハイライトより。
 

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炭素循環: 土壌炭素の大気への放出量が1990年以降増大している
Nature 560, 7716
2018年8月2日    

土壌は、大量の炭素を貯蔵するが、従属栄養生物呼吸を介して、気候変動がどの程度の大気への土壌炭素の放出をもたらすかはまだよく分かっていない。今回B Bond-Lambertyたちは、全球的な土壌の従属栄養生物呼吸が1990年以降増加していることを示す観測に基づく証拠を提示し、この増加が気候変動に応答しており、土壌炭素の大気への損失が大規模に生じていることを示唆している。

Letter p.80
News & Views p.32
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炭素循環より、微生物が土壌の炭素シンクを弱めることがわかりました。
 
二酸化炭素が土壌から失われる速度が、陸生植物に利用される速度よりも大きくなっていることが今回明らかになりました。これは、土壌微生物がより活動的になっているためであり、炭素シンクとして機能する地表の能力が弱まっている可能性があります。
 
この論文は、ネイチャーのニュースにも取り上げられました。
 
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炭素循環:最近数十年にわたって全球的に増加している土壌の従属栄養生物呼吸
Nature 560, 7716 |  Published: 2018年8月2日 |

全球の土壌は、地球大気の少なくとも2倍の炭素を貯蔵している。全球的な土壌から大気へ(全土壌呼吸R_S)の二酸化炭素(CO_2)フラックスは増加しているが、従属栄養生物呼吸(R_H)の結果生じる土壌からの炭素の損失を、気候変動がどの程度促進するかは、まだほとんど分かっていない。本論文では、最新の全球土壌呼吸データベースを用いて、観測された土壌表面のR_H:R_S比は、1990~2014年に0.54から0.63へと有意に増加した(P = 0.009)ことを示す。この知見は、3つの一連の付加的証拠によって裏付けられた。我々は、全球総一次生産の2つの別々のデータセットを分析して、総一次生産に対するR_HとR_Sの比率がいずれも時間とともに増加していることを見いだした。同様に、利用できるもののうちで最も期間の長い太陽光誘発クロロフィル蛍光の全球データセットと、全球陸域モデルのアンサンブルによって算出された総一次生産に対して、R_Hの有意な増加が見られた。さらに我々は、FLUXNET2015データセット全体を通して、総一次生産に対する夜間の純生態系交換の比率が増加していることも示す。全ての傾向は、生態系の種類、かく乱、方法論、CO_2肥沃化効果、平均気候におけるサンプリングのばらつきに対してロバストである。総合すると、今回の知見から、おそらく環境の変化に応答して全球的なR_Hが増大しているという観測証拠が得られた。これは、メタ分析や長期実験に一致している。今回の結果は、気候によって駆動される土壌炭素の損失が現在多くの生態系にわたって生じていて、全球スケールで、検出可能で持続的な傾向が現れていることを示唆している。
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ちなみに、参考にですが、20年前はディスカバリーチャンネルでは、マヤ文明は、大規模の焼畑で温暖化現象になり、穀物が取れなくなり、次第に滅亡していったと説明されていましたが、現在はいろいろな説があるようですね。
 
ここまでわかってくるようになると、対策のしようが明確になってくるかもしれません。
 
本来は昨日取り上げるはずでしたが、疲れてて落ちてしまい、挙げられないところか、何もできませんでした。申し訳ございません。
 
溜まりに溜まった恒例のネイチャー。次回は、気候変動生態学より、 サンゴの白化事象の群集規模の帰結、を取り上げます。

 

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