昨日に引き続き、26号目のネイチャーのハイライトより。
微生物学: 微生物に見つかった新しいロドプシン
Nature 558, 7711
2018年6月28日
微生物をはじめとする多くの生物は、ロドプシン色素を使って光を感知している。O Béjàたちは今回、機能的メタゲノム解析を用いて、既知の他の微生物由来ロドプシンとはトポロジーが異なる新しいロドプシンサブタイプを突き止めた。この新しいロドプシンは、土壌、淡水、海洋の環境から採集された細菌、アーキア、藻類、藻類ウイルスに広く存在していることが示された。
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■眼で進化を視る -その2- - JT生命誌研究館(ロドプシン色素)
■総説:メタゲノム研究 - イルミナ株式会社 | 遺伝研 …(PDF)
■光を信号へと変換するタンパク質の新型ヘリオロドプシンを発見(PDF)(微生物由来ロドプシン)
■名工大・東大・JST、光を信号へと変換するタンパク質の新型「ヘリオロドプシン」を発見(微生物由来ロドプシン)
■古細菌 - Wikipedia(アーキア)
■アーキア生物学 / 日本Archaea研究会 監修 石野 ...- 共立出版
■深海底微生物「アーキア」~地球の炭素循環で重要な役割を果たし、毒性の高い物質の分解にも役立つ
(アーキアについての全体図を把握できるように挙げています)
(atcv 1ウイルスの詳細はないですねぇ・・・。)
■藻類の巨大ウイルスが人の喉に住み着いて認知機能に影響を与えるかもしれない
■4. 海洋真核性微細藻類ウイルスの現状と生態学的研究(PDF)
■総説真核性藻類ウイルスの分子生物学(PDF)
(何だかウイルスがうじゃうじゃ出てきましたが<苦笑)
ロドプシンサブタイプについては、下記の「Gt」部分を参照のこと。GtはトランスデューシンというGタンパク質であり、「t」はトランスデューシンからきていると考えられます。Gt(トランスデューシン)は、網膜に存在するロドプシン(光受容体)と共役します。そのため、GPCRはロドプシン型受容体と呼ばれることもあります。
■Gタンパク質共役型受容体(GPCR) – 薬のすべてがわる!薬学まとめ
微生物学:機能的メタゲノム解析により発見された豊富に存在する微生物由来ロドプシンの新たなグループ
Nature 558, 7711 | Published: 2018年6月28日 |
多くの生物がロドプシン色素を用いて日光を捕捉・感知している。ロドプシンは、発色団のレチナール分子を結合した非常に重要な膜タンパク質で、タイプ1(微生物由来ロドプシン)とタイプ2(動物由来ロドプシン)の2つの異なるタンパク質ファミリーから構成される。この2つのファミリーは同様のトポロジーを共有しており、7回膜貫通ヘリックスが結合ポケットを形成し、この中でレチナールは7番目のヘリックスにあるリシン残基に共有結合してプロトン化シッフ塩基として存在する。タイプ1とタイプ2のロドプシンには、塩基配列上の類似性がほとんど、あるいは全く見られず、これは共通祖先からの大規模な分岐か、類似した構造の収斂進化の結果である。今回我々は、機能的メタゲノム解析を用いて、タイプ1ロドプシンから遠く離れた、多様な新規ロドプシンファミリーを突き止め、それをヘリオロドプシンと名付けたことを報告する。ヘリオロドプシンはN末端を細胞質に向ける形で細胞膜に埋め込まれており、これはタイプ1やタイプ2のロドプシンとは逆である。ヘリオロドプシンは1秒より長い光サイクルを示したことから、光感知活性を有すると考えられる。ヘリオロドプシンの光サイクルは、タイプ1やタイプ2のロドプシンのようにレチナール異性化とプロトン移動を伴うが、プロトンは過渡的にでもタンパク質から放出されることはなかった。ヘリオロドプシンは、地球上に広く豊富に存在しており、アーキア、細菌、真核生物、およびそれらのウイルスに検出された。今回の我々の知見により、微生物の世界にこれまでに知られていなかった光感知ロドプシンが広く存在することが明らかになった。
■Gタンパク質共役受容体 - Wikipedia(7回膜貫通ヘリックス)
んー。図を入れたいのはやまやまなんですが、申し訳ない・・・。
微生物の世界も分子の知識が広がりそうです。
溜まりに溜まっているネイチャー、次回は、医学研究:より、膵臓がんにおける組織消耗を理解する、を取り上げます。