構造生物学: ニコチン性受容体の集合状態 | Just One of Those Things

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昨日に引き続き、19号目のネイチャーのハイライトより。

 

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構造生物学: ニコチン性受容体の集合状態
Nature 557, 7704
2018年5月10日  

ニコチン性アセチルコリン受容体は神経伝達物質依存性のイオンチャネルで、神経筋接合部での迅速な化学的神経伝達に関わっており、中枢神経系でのシグナル伝達に多様な役割を担っている。ニコチン性アセチルコリン受容体などのリガンド依存性五量体イオンチャネルの多くはヘテロオリゴマーである。これらの構造は大まかに見れば似ているが、機能の方はさまざまに異なっている。R Hibbsたちは今回、αとβの2種類のサブユニットからなるが、サブユニットの量比が異なるヘテロマーである2つのアセチルコリン受容体(2α:3βと3α:2β)について、ニコチンと複合体を形成した状態の構造をクライオ(極低温)電子顕微鏡法を用いて明らかにした。量比が異なるこれらの受容体は同一の試料から得られており、β2サブユニット特異的なFab抗体断片を用いて構造が区別された。今回の研究によって、サブユニットの集合状態、透過性、またこのクラスの受容体のサブユニット界面で起こるニコチン結合の様式の相異についての構造情報が得られただけでなく、他のリガンド依存性五量体チャネルについて同様の研究を行う際の手順も示された。

Letter p.261
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アセチルコリン受容体 - Wikipedia

 

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構造生物学:ヒトα4β2ニコチン性受容体の独特な集合の構造原理
Nature 557, 7704 |  Published: 2018年5月10日 |

神経系での迅速な化学情報伝達は、神経伝達物資依存性のイオンチャネルにより媒介される。このクラスの細胞表面受容体の典型的なメンバーは、陽イオン選択性のニコチン性アセチルコリン受容体である。ほとんどのリガンド依存性イオンチャネルと同様に、ニコチン性受容体はサブユニットのオリゴマーとして組み立てられていて、通常はヘテロオリゴマーであり、サブユニット間の量的関係は一定でないことが多い。タンパク質構成に見られるこうした本来的な不均一性は、チャネルの性質の微調整を可能にし、この性質は脳機能には非常に重要だが、構造的および生物物理的な特性評価にとっては厄介である。ニコチン性アセチルコリン受容体のα4β2サブタイプは、ヒト脳に最も多数存在するアイソフォームで、ニコチン嗜癖における主な標的である。このリガンド依存性五量体イオンチャネルは、αおよびβサブユニットの集合の際の量比が2種類(2α:3βと3α:2β)知られている。どちらの集合状態も機能を持ち、生物物理的な性質は異なっていて、2種類の集合体の存在比が不均衡であることがニコチン嗜癖と先天性のてんかんの両方に関連付けられている。今回我々は、単一の試料から両方の集合状態の受容体を得て、クライオ(極低温)電子顕微鏡法を用いてその構造を明らかにした。β2特異的な抗体断片を、粒子の位置合わせで対称性を「破る」のに使い、両方の量比の受容体について、ニコチンと複合体を形成した状態の高分解能再構築像を得た。この結果から、サブユニット集合の原理と、この受容体の異なる量比に起因する生物物理的および薬理学的に異なる性質の構造基盤が明らかになった。
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生物物理的および薬理学的に異なる性質の構造基盤が明らかになった、ということで、今後の研究や医療に役立つことかと思われます。
 
明日は、20号に入り、集団遺伝学を取り上げます。
 
誠に申し訳ないことに、寝落ちてしまったのでほとんどが回れていません、必ず回りますのでお待ちください。
 
 

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