昨日に引き続き、17号目のネイチャーのハイライトより。
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造生物学: NMDA受容体の働きを遮断する
Nature 556, 7702
2018年4月26日
NMDA受容体はリガンド依存性イオンチャネルで、イオンチャネル型のグルタミン酸受容体ファミリーに属し、興奮性シナプス伝達、学習や記憶に重要な役割を果たしている。NMDA受容体の機能不全は、神経変性疾患や脳卒中、統合失調症と関連付けられている。今回、E Gouauxたちは、結晶学的手法と計算機シミュレーションを組み合わせて用い、MK-801、およびアルツハイマー病治療薬として認可されているメマンチンによるNMDAチャネル遮断の機構を明らかにした。この研究により、NMDA受容体の小孔が開いた構造とイオン透過に関する手掛かりが得られ、使われた2つの薬剤がチャネル遮断につながるコンホメーション変化を誘起する仕組みが明らかになった。
Letter p.5155
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神経変性疾患や脳卒中、統合失調症の患者の皆さんやご家族に朗報です。
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構造生物学:MK-801およびメマンチンによるNMDA受容体チャネル遮断の機構
Nature 556, 7702 | Published: 2018年4月26日 |
NMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)受容体は、グルタミン酸やグリシンの結合をカルシウム透過性イオンチャネルの開口と連動させるという形で、情報を変換している。NMDA受容体の高分解能構造研究が行われていないため、イオンチャネル遮断剤がイオン透過を阻止する機構はよく分かっていない。今回我々は、GluN1–GluN2B NMDA受容体からアミノ末端ドメインを除去すると、機能を保持した受容体と回折特性の良好な結晶が得られることを明らかにし、この方法を用いてNMDA受容体遮断剤であるMK-801の結合部位の位置を特定することができた。この結晶構造と長時間スケールでの分子動力学シミュレーションとを組み合わせて、MK-801やメマンチン(アルツハイマー病治療薬として認可されている)がイオンチャネルの前庭中に結合し、チャネルのゲート閉鎖を促進し、M3ヘリックスバンドルの交差箇所とM2小孔ループの間に留まって、イオン透過を物理的に遮断する仕組みが明らかになった。
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■アルツハイマー病と N-Methyl-D-Aspartate (NMDA) 受容体 (PDF)
まぁ、こんなところでしょうか。次回も構造生物学ですが、今度こそ難しいかも、です。時間を押してますので、今日はこの辺で・・・。