進化学: 大きくなり過ぎた生殖器で危機に瀕した貝形虫類 | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

昨日に引き続き、16号目のネイチャーのハイライトより。

 

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進化学: 大きくなり過ぎた生殖器で危機に瀕した貝形虫類
Nature 556, 7701
2018年4月19日 


性選択と絶滅の関係は、厄介な問題である。というのも、一部の研究は、性選択が自然選択を強化し、種の適応度を高めて絶滅しにくくすると示しているのに対し、他の研究は、性的二型性への投資がリスクを生じ、絶滅の確率を高めると示しているからである。これまでの研究では、「絶滅」が局地的または実験室レベルのものでしかなく、すなわち人為的なものにすぎないという制限があった。では、実際の絶滅を経験した化石記録を利用してはどうだろう。M Fernandes Martinsたちは今回、石灰化した二枚貝様の背甲を有する小型の甲殻類である貝形虫類の極めて良好に管理された化石記録を用いて、この問題に取り組んだ。貝形虫類は、現生種がいるために生物学的な特徴が分かっており、また化石標本は性別を確実に判定することができるため、理想的な研究対象である。雄の背甲は、生殖器を収納するために雌と比べ大きくて長いが、その程度は一定ではない。著者たちがこの貝形虫類の化石記録をたどったところ、性的二型性が絶滅リスクと関係することが明らかになった。二型性がより顕著な種は、そうではない種に比べて絶滅しやすいことが分かったのである。


Letter p.366
News & Views p.315
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この手の種は、性差が絶滅につながる時といえるかもしれません。

 

一部の生物種では、雄と雌の姿が著しく異なるものがあります。今回、海洋生物化石の研究によって、そうした差異が、絶滅リスクの増大という代償を払って生じていることが見いだされました。

 

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進化学:化石貝形虫類では、雄の高い性的投資が絶滅の駆動要因となった

Nature 556, 7701 |  Published:  2018年4月19日  |


性選択は、配偶者をめぐる競争において優位性を与えるような形質に有利に働く。多くの場合、そうした形質を生み出して維持するにはコストがかかるが、それはこうしたコストが形質に伴う信号および合図の正直さの強化に役立つからである。進化モデルの一部は、性選択が個体群レベルでもコストを生み出すと予測しており、これによって個体群が条件の変化に適応する能力が制限され、絶滅リスクを増大させる可能性があるとしている。しかし他のモデルは、性選択が適応を加速させて有害な変異の排除を増進し、個体群を絶滅から保護していると示唆している。こうしたモデル間の矛盾を解決することは、生物多様性の歴史を説明する上で重要であるだけでなく、現在の生物多様性の危機に関する機構の理解にも関係してくる。モデルから導かれた相反する予測を検証しようとする過去の取り組みは、現生種に限られており、種の絶滅に関しては間接的な代理指標に依存していた。今回我々は、性的二型性の背甲を有する二枚貝に似た小型の甲殻類であるシセレ上科貝形虫類の情報に富む化石記録を用いて、性選択が実際の種絶滅にどのように関係するか調べた。その結果、性的二型性がより顕著な種、つまり雄の生殖への投資が最高レベルの種は、生殖への投資が最低レベルの種と比較して、推定される絶滅速度が10倍高いことが明らかになった。こうした結果は、性選択が絶滅において重大なリスク因子となり得ることを示している。

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この論文は、ネイチャーのニュースにも取り上げられました。

 

なかなか興味深いものですね。

 

明日は神経科学を取り上げます。

 

PS:昨日は寝落ちで爆睡、バタバタしているところ、「飲みにいこう」と誘いがあり、回りきれずに行くことになりました。回るのが遅くなります。申し訳ありませんが、回るのが遅れます^^;

 

 

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