量子物理学: ループホールの無いランダム性 | Just One of Those Things

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昨日に引き続き、15号目のネイチャーのハイライトより。

 

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量子物理学: ループホールの無いランダム性
Nature 556, 7700
2018年4月12日


ランダム性は、かつては抽象的な概念であったが、データの暗号化に使用される乱数生成器など、今では確立された技術的資源である。しかし、そうしたデバイスによって得られたランダム性はどれほど「良質」なのであろうか。デバイスの出力したランダム性の予測不可能性はどれほど「本当」なのであろうか。ランダム性を生成するための、デバイスに依存しないプロトコルは、ベル不等式の破れが関わるベルテスト(Bell test)で調べられた量子非局所性に依拠しており、このプロトコルによって、デバイスや潜在的なハイジャッカーに関する最小限の仮定を用いて認証されたランダム出力が得られる。今回P Bierhorstたちは、ループホールの無いベルテストに基づくデバイスに依存しないプロトコルでランダム性を認証し、定量化した。このような「改良された」ベルテストは、各試行において、高い光検出効率と、空間的に分離された測定ステーションを必要とし、一方のステーションでのデータ取得がもう一方のステーションでの測定に影響を及ぼさない(逆も然りである)ことが保証されている。このようにして、著者たちは超光速信号の存在を認めないいかなる物理理論の範囲内においても予測不可能な1024個のランダムビットを抽出した。重要なのは、このプロトコルは、試行ごとのベル不等式の破れが低いことを特徴とするデバイスに最適化されていることである。このような乱数生成器は、現在の暗号システムのセキュリティーと信頼性の向上に役立つ可能性がある。


Letter p.223
News & Views p.176
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間違いなくランダムな数となっております。

 

通信システムは、乱数生成器に頼って情報を暗号化しています。今回、信頼できないデバイスからも完全にランダムな数を作る方法が得られ、セキュリティーの向上につながる可能性がでてきました。

 

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量子物理学:超光速信号の不可能性によって認証される実験的に生成されたランダム性

Nature 556, 7700 |  Published:  2018年4月12日  |


サイコロから現代の電子回路まで、乱数を生成するより優れたデバイスを構築するために、多くの試みがなされている。ランダム性は、セキュリティーシステムや暗号システム、プライバシー保護の基盤である。乱数生成器の重要な課題は、出力が予測不可能であることを保証するのが難しいことである。ノイズの多い古典系や基本的な量子測定などの物理的過程に基づく乱数生成器において、予測が不可能であると主張するには、根底にある物理を説明する詳細なモデルが必要である。モデルの不完全さは、デバイスの完全性を損なってしまう。しかし、ループホールの無いベルテスト(Bell test)と共に量子非局所性現象を利用することで、特殊相対性理論などの一般的な物理的原理のみによって制限されるいかなる相手にも予測できない出力を生成する乱数生成器を構築することは可能である。最近の技術開発によって、今ではそうしたループホールの無いベルテストの実行が可能になっている。今回我々は、フォトニックなベル実験から得た認証されたランダム性を提示し、10^−12の範囲内に均一に分布する1024個のランダムビットを抽出した。これらのランダムビットは、光よりも速い(超光速の)シグナル情報伝達を禁止するとともに、独立した測定選択を可能にするいかなる物理理論によっても予測できなかった。我々は、ランダム性を認証し定量化するために、試行ごとのベル不等式の破れが低いことを特徴とするデバイスに最適化されたプロトコルについて説明する。ループホールの無いベルテストに基づく将来の乱数生成器は、我々の暗号システムとインフラストラクチャーのセキュリティーと信頼性を高める役割を果たす可能性がある。

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この論文は、ネイチャーのニュースにも取り上げられました。

 

私事ですが、その昔(元尼ですので)、密教の呪術を量子力学に応用し”破れ”を生じさせてしまい、非常に怖い思いを幾度かしたことがあり、それ以降、その方法を用いるのを禁じることとし、別の手法を用いました。現実での”破れ”は非常に怖いです。はい。それによって”破れ”が低くなりました。(笑)振り返ってみれば、かの空海も術を乱用したことを懺悔し、乱用しないことを重んじる内容のお経が真言宗に残されています。”破れ”でしょうね。(笑)であるから、この論文の意味がとてもよくわかる上に、確信があります。・・・と、人にはわけがわからないことを書きましたが。

 

おそらく、ループホールの無いベルテストに基づく将来の乱数生成器は、暗号システムとインフラストラクチャーのセキュリティーと信頼性を高める役割を果たす可能性が高いんじゃないでしょうか。

 

次回は、水分損失を防ぐペプチドについて取り上げます。

 

 

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