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再生医療、日本の影薄く 研究予算偏重に不満の声も 
科学&新技術
2017/12/20 6:42日本経済新聞 電子版


 再生医療研究で日本の存在感が揺らいでいる。京都大学の山中伸弥教授がヒトiPS細胞作製に成功して10年。iPS細胞を使った世界初の臨床研究を実施するなど前進も見られる一方、米欧や中韓との競争は激しく、世界の潮流から後れを取る懸念も指摘される。iPS細胞の研究とその備蓄事業への重点支援、臨床応用の重視という3つの「偏重」が逆風を招いているとの見方もある。

 

 「もうやめたらどうだ」。12月初め、国の再生医療プロジェクトの運営に携わる赤沢智宏・東京医科歯科大学教授のもとに、自民党国会議員から電話が入った。やり玉に挙がったのは京大iPS細胞研究所が進める再生医療用のiPS細胞を備蓄する事業だ。山中教授の熱意から始まったが、費用がかさむ割には成果が見えないとして「風当たりが強くなっている」(赤沢教授)。

 

 2012年の山中教授のノーベル生理学・医学賞受賞を機に、国はiPS細胞を中心とする再生医療研究に10年間で1100億円の大型支援を決める。日本発のiPS細胞の実用化に成功すれば世界をリードできるとの思惑が一致した。「オールジャパン」の掛け声のもと、iPS細胞研究は大きな柱となった。

 

 備蓄事業には資金の約4分の1を投じる。患者に移植しても拒絶反応が起こりにくい型のiPS細胞を他人から作ってそろえておけば、必要時に患者に低コストで提供できる点を強調してきた。

 

 理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらは臨床研究として、京大から提供された備蓄iPS細胞を育てて目の難病患者に移植する手術をすでに実施。18年度以降は脊髄損傷や心不全などでも臨床研究や臨床試験が始まる見通しだ。

 

 だが17年1月、京大でiPS細胞の作製時に試薬を取り違えた可能性が発覚し、一部の細胞提供を一時停止した。管理体制の甘さから臨床研究の遅れを招いた。

 

 このまま備蓄事業を大学が続けるべきか。12月13日に開かれた文部科学省の作業部会では委員から「公設民営でもいいが企業に任せる体制をつくるべきだ」との意見が出た。山中教授は「公的な大学だから日本赤十字社などと協力して細胞の提供者を集められる」「企業に委託すると製造コストが高額になる」と意義を強調した。

 

 備蓄細胞が普及しなければ巨費を投じる大義を失う。京大はタカラバイオと共同研究を始め、製薬企業出身者も迎えて対策を進める。米ハーバード大学医学部長のジョージ・デイリー教授は「備蓄の意義を実証する今の段階は大学が担うのが自然だ」と指摘する。

 

 日本でiPS細胞は「再生医療の本命」と目されてきたが、海外の潮流はそうともいえない。米国などではiPS細胞と同じ万能細胞の胚性幹細胞(ES細胞)を使った臨床試験が進む。目の難病や脊髄損傷、糖尿病などに広がり、臨床応用でiPS細胞に先んじる。

 

 さらに再生医療には骨髄や脂肪に含まれる幹細胞の利用や、遺伝子治療を組み合わせる手法もある。だが、国内のES細胞や遺伝子治療の研究者からは「iPS細胞に研究予算を取られた」と不満の声が上がる。

 

 17年6月、米ボストンで開かれた国際幹細胞学会。数千人の研究者が集まったが日本人の発表は少なく、米欧や中国の研究者の姿が目立った。「日本が応用分野に偏り、存在感が薄れている」と懸念する声も聞かれた。

 

 iPS細胞も基礎研究があってこそ生まれた。国内外の多くの研究者が「山中教授には基礎研究に注力してほしい」と口をそろえる。これに対し「一日も早く患者にiPS細胞を使う新しい医療を届けたい」という山中教授の思いは強い。応用のもう一つの柱である創薬とともに「ここからが正念場」と意気込む。

 

 普及にこぎ着けるまでiPS細胞を重点支援すれば、世界標準となる医療技術を確立できる可能性もある。日本は世界に先駆け、再生医療の規制緩和も果たした。理研の高橋氏は「日本は医師と研究者が一緒に開発に取り組み、品質は欧米より高い」と語る。

 

 iPS細胞と再生医療を巡り摩擦が目立ち始める中、山中教授は信念を貫けるか。日本の戦略も岐路に立たされている。(越川智瑛、岩井淳哉)

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ES細胞には、倫理が付きまとうので、国内では限られており、普及はなかなか難しいものとなっています。

 

iPS細胞と再生医療については、まだ時間がかかると思いますが、もう少し長い目で見ていただけたらと思います。

 

20年前に比べたら、速いスピードで進展していますので、後は如何に危機管理が出来るかどうかだと思います。

 

山中教授の念願が達成できるよう、心より祈っています。

 

さて、恒例のネイチャー関連といきますか。

 

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