がん治療、遺伝情報でオーダーメイド 保険適用めざす | Just One of Those Things

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 がんのオーダーメイド型医療を国が推進しています。保険適用への動きが出てきました。患者の遺伝情報(ゲノム)を検査して適切な薬を選ぶことができると期待されています。

 

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がん治療、遺伝情報でオーダーメイド 保険適用めざす

野中良祐、阿部彰芳

2017年12月26日05時00分 朝日新聞デジタル


 日本人の死因1位で、年間新たに約100万人が診断されるがんのオーダーメイド型医療を国が推進している。国立がん研究センター中央病院は来月にも、個人ごとに最適な治療をするため、患者の遺伝情報(ゲノム)を検査する「がんゲノム医療」を先進医療に申請する。認められれば一部で保険がきくようになる。他にも複数の施設が申請を準備中で、国は2019年度中の保険適用をめざしている。

 

 がん細胞の遺伝子100種以上を網羅的に調べ、どの遺伝子に異常が起きているかを突き止め、変異に応じて薬などを使い分ける方法。個々の患者のがん細胞の特徴に合う抗がん剤を使うことができ、より効果的な治療ができるようになると期待される。検査は数十万円かかり、一部の施設で臨床研究や自由診療で実施されてきた。中央病院は年明けに厚生労働省に申請。同省の有識者会議の了承を得て来年度の早い時期の実施をめざす。第一号となる見込み。

 

 細胞内の遺伝子がコピーされる過程などで、何らかの異常が起きると、がん細胞が生まれる。ゲノム医療は、患者のがんや正常組織から細胞を採り、次世代シークエンサーと呼ばれる専用の機械で検査して遺伝情報を読み込む。複数の専門家が、情報をもとに治療法の中から最適なものを選定する。これまでの臓器ごとから、遺伝子の変異ごとに異なる治療法へと選択肢が大きく広がる。

 

 中央病院の計画では、対象は再発や病状の進行などで標準的な治療を受けられない患者。117種類の関連遺伝子を網羅的に調べ、原因となった変異を探す。遺伝性だとわかり、患者の希望があれば家族へのカウンセリングも実施する。

 

 政府が10月に閣議決定した第3期がん対策推進基本計画には、がんゲノム医療の普及のため拠点病院を整備する方針が盛り込まれた。このがんゲノム医療ができることが、厚労省が17年度中に選ぶ12施設ほどのゲノム拠点病院の要件の一つになる。拠点病院と連携する病院を全都道府県で指定し、今後これらも先進医療に加わる見通しだ。

 

 ただし変異が見つからないとか選定された治療法が国内で受けられない、遺伝情報による差別が生まれるといった新たな課題も指摘されている。(野中良祐、阿部彰芳)

 

     ◇

 

《先進医療》 公的医療保険の対象外で患者の全額自己負担となる医療技術について、保険診療との併用を認める制度。がんゲノム医療の場合、遺伝子検査の技術費用は自己負担になるが、それ以外の診察や検査に保険が適用され、患者の負担は軽くなる。厚生労働省が一定の施設基準を設定し、基準を満たした医療機関の届け出を認める。公的保険の対象とするのが妥当かを評価するため、定期的に施設からの報告を求める。

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今回は特番で長編となります。

 

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がん治療、オーダーメイドめざす 遺伝情報を検査、薬使い分け 一部保険適用へ動き
2017年12月26日05時00分 朝日新聞デジタル

 
 がんのオーダーメイド型医療を国が推進している。国立がん研究センター中央病院は来月にも、個人ごとに最適な治療をするため、患者の遺伝情報(ゲノム)を検査する「がんゲノム医療」を先進医療=キーワード=に申請する。認められれば一部で保険がきくようになる。他にも複数の施設が申請を準備中で、国は2019年度中の保険適用をめざしている。▼3面=差別生じる懸念も


 がん細胞の遺伝子100種以上を網羅的に調べ、どの遺伝子に異常が起きているかを突き止め、変異に応じて薬などを使い分ける方法。個々の患者のがん細胞の特徴に合う抗がん剤を使うことができ、より効果的な治療ができるようになると期待される。

 

 検査は数十万円かかり、一部の施設で臨床研究や自由診療で実施されてきた。中央病院は年明けに厚生労働省に申請。同省の有識者会議の了承を得て来年度の早い時期の実施をめざす。第一号となる見込み。

 

 細胞内の遺伝子がコピーされる過程などで、何らかの異常が起きると、がん細胞が生まれる。ゲノム医療は、患者のがんや正常組織から細胞を採り、次世代シークエンサーと呼ばれる専用の機械で検査して遺伝情報を読み込む。

 

 複数の専門家が、情報をもとに治療法の中から最適なものを選定する。これまでの臓器ごとから、遺伝子の変異ごとに異なる治療法へと選択肢が大きく広がる。

 

 中央病院の計画では、対象は再発や病状の進行などで標準的な治療を受けられない患者。117種類の関連遺伝子を網羅的に調べ、原因となった変異を探す。遺伝性だとわかり、患者の希望があれば家族へのカウンセリングも実施する。

 

 政府が10月に閣議決定した第3期がん対策推進基本計画には、がんゲノム医療の普及のため拠点病院を整備する方針が盛り込まれた。このがんゲノム医療ができることが、厚労省が17年度中に選ぶ12施設ほどのゲノム拠点病院の要件の一つになる。

 

 拠点病院と連携する病院を全都道府県で指定し、今後これらも先進医療に加わる見通しだ。

 

 ただし変異が見つからないとか選定された治療法が国内で受けられない、遺伝情報による差別が生まれるといった新たな課題も指摘されている。(野中良祐、阿部彰芳)


 ◆キーワード

 <先進医療> 公的医療保険の対象外で患者の全額自己負担となる医療技術について、保険診療との併用を認める制度。がんゲノム医療の場合、遺伝子検査の技術費用は自己負担になるが、それ以外の診察や検査に保険が適用され、患者の負担は軽くなる。厚生労働省が一定の施設基準を設定し、基準を満たした医療機関の届け出を認める。

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して、3面です。

 

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遺伝情報、扱いに課題 差別生じる懸念も がんゲノム
2017年12月26日05時00分 朝日新聞デジタル


 遺伝子の情報をもとに適切な治療を選ぶがんゲノム医療。より高い治療効果が期待されるが、課題はいくつもある。▼1面参照

 

 がんの原因となる変異を特定できないことや、最適とされる治療がわかっても、国内で実施されていないために受けられなかったり、保険対象外のために高額な費用がかかったりする場合もある。

 

 国立がん研究センターによると、様々な報告があるが、国内外で遺伝子検査を受けた患者のおよそ半数で原因となる変異が見つかり、このうち10~20%が治療に至ったという。

 

 今回のゲノム医療では、患者が生まれつき持つ遺伝性の変異も数%の確率で見つかるとされる。米俳優アンジェリーナ・ジョリーさんが、がん予防のため乳房と卵巣を切除して注目を集めた。ゲノム医療の普及に伴い、患者や家族が予期しない遺伝情報を知る機会が増える。先行する欧米では、遺伝情報に基づく差別を法で禁じる。これに対し、国内に法的な裏付けはない。差別を心配する声がすでに上がっている。

 

 遺伝性の病的な変異が見つかっても、何をどのように伝えるかの公的なルールがない。日本遺伝カウンセリング学会理事長の小杉真司・京都大教授の研究班は11月、治療や予防できるタイプの変異に限って患者に伝えるべきだとする提言案をまとめた。小杉さんは「健康管理に役立つ情報は伝えるべきだが、家族の遺伝子を検査する体制整備も求められる」と指摘する。日本人類遺伝学会も11月、十分なカウンセリング体制が必要とする提言を発表した。

 

 遺伝性がんの患者団体などでつくる「ゲノム医療当事者団体連合会」の太宰牧子代表理事は「ゲノム医療は進めてほしい。そのためにも遺伝情報を扱うルールが必要だ」と話す。

 

 遺伝情報に基づく差別の禁止などをめざす超党派の議員連盟が年明けにも、結成される見通し。薬師寺道代参院議員は「一般向けの遺伝子検査などのビジネスも急速に広がっている。原則や理念を定めた法を作りたい」と語る。(野中良祐、阿部彰芳)


 ■法律で差別禁止 韓国・フランス・米国

 

 海外では、遺伝情報による差別を禁じる法整備も進む。

 

 東京大の武藤香織教授によると、韓国では2003年、雇用や昇進時に遺伝情報に基づき差別することを禁じる生命倫理法が成立。遺伝子検査を受けることや、その結果を提出することの強制も禁止している。

 

 フランスでは04年に生命倫理法を改正し、「何人も、遺伝的特徴を理由とした差別の対象にすることはできない」と明記した。両国とも違反者には刑罰を科している。

 

 米国は08年、民間保険の加入者や雇われる人に対して遺伝情報に基づく差別をすることや、遺伝情報の提供を求めることを禁じる法律を制定した。

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一日も早く、実現することを祈ります。

 

さて、定時にネイチャー関連の記事を取り上げるとしますか。

 

 

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