300疾患でiPS作製 創薬に期待 | Just One of Those Things

Just One of Those Things

Let's call the whole thing off

指定難病の半数をカバーできるそうです。

 

----------------------------------------------------------
<iPS細胞>300疾患で作製 指定難病の半数カバー
11/26(日) 7:30配信  毎日新聞

 

 有効な治療法が確立されていない病気に効く薬の開発などに役立てようと、国内でこれまでに約300種類の患者由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)が作製されたことが、理化学研究所バイオリソースセンター(BRC、茨城県つくば市)への取材で分かった。国が難病に指定している疾患の5割以上をカバーしている。京都大の山中伸弥教授がヒトのiPS細胞の作製を発表してから今月で10年。治療薬の候補となる物質の特定につながる成果も上がり始めており、iPS細胞を用いた創薬研究が今後、加速しそうだ。【池田知広】

 

  ◇創薬に期待

 

  患者の組織から作製したiPS細胞を使って培養皿の上で病気を再現すれば、治療につながる物質の特定作業が容易になると考えられている。このため、BRCは国内の研究機関が患者の皮膚や血液から作製したiPS細胞を集めて凍結保存し、別の研究機関に提供して研究に役立ててもらう「疾患特異的iPS細胞バンク」を2010年12月から運営してきた。京都大iPS細胞研究所など国内の公的研究機関が作製した患者由来のiPS細胞の寄託を受ける仕組みだ。

 

 BRCによると、国内の11機関が昨年度末までに、786人の患者の組織から作製した289種類の病気のiPS細胞をバンクに提供した。筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病などの国指定の難病が171種類含まれており、全部で331疾患ある指定難病の半数以上をカバーする。指定難病以外にも、アルツハイマー病や統合失調症、てんかんなど、治療が難しく患者数が多い疾患もある。また、バンクを通さずに進む研究もある。

 

 BRCはこれまでに国内22機関、海外8機関にiPS細胞を提供した。神経系の難病の研究に利用されているケースが多いという。BRC細胞材料開発室の中村幸夫室長は「提供は今後増えていくと考えられる。たくさんの研究者に使ってもらい、一つでも多くの難治性疾患の治療に役立ててほしい」と話す。

 

  iPS細胞を活用した創薬研究では、京大iPS細胞研究所の戸口田淳也教授らのチームが今年8月、筋肉などに骨ができる難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」の治療薬の候補を特定したと発表。10月から本格的な臨床試験が始まっている。

----------------------------------------------------------

 

病気の原因を解明し、新しい薬の開発などに活用できると期待されているiPS細胞とはどんなものかについては、下記のWebで知ることが出来ます。

 

出典:京都大学 iPS細胞研究所
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/faq/faq_ips.html

 

さて、創薬の実用段階は、既に京大が初の治験を行っています。

 

----------------------------------------------------------
iPS創薬 実用段階 京大が初の治験へ、難病向け開発素早く 
2017/8/2 0:31 日本経済新聞

 

 医療に革新をもたらすiPS細胞を新薬の開発に使う「iPS創薬」が実用段階に入った。京都大学iPS細胞研究所の戸口田淳也教授は1日、筋肉の中に骨ができる難病の治療薬候補を発見し、臨床試験(治験)を9月以降に始めると発表した。iPS細胞で見つけた候補薬を実際の患者に試すのは世界で初めて。再生医療と並ぶ応用が大きく前進し、iPS細胞研究は新たな局面を迎えた。

 

 京大が治療薬を目指すのは「進行性骨化性線維異形成症」。筋肉などの組織の中に骨ができる難病で、国内の患者は約80人とされる。有効な治療薬はない。

 

 京大病院の審査委員会は既に治験の計画を承認した。京大は医薬品医療機器総合機構(PMDA)への届け出も終えた。すべての手続きを経た後、6歳から60歳未満の男女計20人で安全性や効果を確かめる。京大のほか、東京大、名古屋大、九州大でも実施する計画だ。

 

 iPS細胞は体のあらゆる細胞に育つ万能細胞だ。京大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授が2006年に世界で初めてマウスで、翌年にヒトの細胞で作製した。皮膚や血液の細胞に遺伝子を入れ、時計の針を巻き戻すようにそれぞれの細胞になる前の状態に戻す。人の臓器や組織の細胞が自在に作れる。

 

 応用は再生医療と創薬が2本柱だ。病気やけがで傷んだ体を治す再生医療の試みが先行したが、初の治験入りで創薬でも大きな可能性を示した。山中教授は1日、「創薬研究が活発になり、様々な難病に対する新しい治療法の開発につながることを期待している」とコメントした。

 

 研究チームはiPS細胞の特徴を存分に生かした。患者から作ったiPS細胞は、病気の状態を正確に再現した。約7000種類の物質を調べ、病気の進行を抑える候補を効率よく絞り込んだ。

 

 一般に薬の開発では、ネズミなどで人の病気を再現し、発症の仕組みや薬の候補物質を突き止める。ネズミで効いても人で効果がなく、開発が行き詰まることも度々だ。

 

 iPS創薬では、患者の細胞を使い、試験管の中で病気を観察できる。患者に見立てた細胞で多数の物質を試し、治療薬の候補を絞るスピードは桁違いに速い。創薬の成功率も上がる見通しだ。戸口田教授は「予想外の速さで候補薬が見つかった」と語った。

 

 今回、臓器移植後の免疫抑制剤に使う「ラパマイシン」が最有力候補と分かった。既存の薬が新薬候補に挙がるのも、iPS細胞を使って約7000種類に及ぶ物質をふるいにかけられたためだ。既存薬ならば、実用化への道筋を立てやすい。

 

 iPS創薬は、画期的な新薬が生まれにくい現状を打破できるとの期待が大きい。

----------------------------------------------------------

 

現状を打破できるよう、ご健闘をお祈りします。

 

がんの薬の効果を調べる国家プロジェクトはどうなったでしょうか?

 

国家プロジェクトのほうも、ご健闘をお祈りしています。

 

 

ペタしてね