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しかし、海外感染は最多になっています。


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デング熱の国内感染、今季ゼロ 海外感染は最多に
朝日新聞デジタル 11月8日(日)15時28分配信


 昨年、患者が162人に上ったデング熱の国内感染が、今季は1人も報告されていない。ウイルスを媒介する蚊の活動期も過ぎたため、ゼロでシーズンを終えそうだ。一方、海外で感染して日本で発症した今年の患者数は、10月下旬で年間の過去最多を超えた。それでも国内感染が出ない理由は、はっきりしていない。


 「夏の間は心配していたが、蚊が少なくなってきてやっと気分が晴れた」。3日午後、東京都渋谷区の都立代々木公園でウォーキングをしていた区内の女性(54)はこう語った。この夏は外出時に必ず虫よけスプレーをつけ、大学生の子ども2人にもスプレーを持たせていたという。


 デング熱は昨年、約70年ぶりに国内での感染が確認された。代々木公園周辺は、国内感染した患者162人の約8割が感染した場所とみられている。推定感染地を東京都内まで広げると患者の98%になる。


 デングウイルスを媒介するヒトスジシマカは、日本での主な活動期は5月中旬~10月下旬。成虫は越冬しない。


 東京医科大病院渡航者医療センターの濱田篤郎教授は「国内感染が見つかっていない理由はわからないが、蚊を増やさない対策や、海外で感染した患者を早く診断する取り組みがうまくいった可能性はある」と指摘する。


 代々木公園は4月から植木の刈り込みを例年よりも深くし、風通しをよくして蚊が潜みにくくした。8月には園内30カ所に看板を立て、肌の露出を避けることや虫よけ剤の使用を利用者に呼びかけた。


 都は今季、代々木公園を含む大規模な都立公園9カ所で、初めて春先から蚊を成虫にさせない薬を排水溝などに散布した。10月23日までに9公園で捕獲した約2700匹にウイルス検査をしたが、すべて陰性だった。検査は11月13日まで続けるという。


 また、患者を早く見つけられるよう検査態勢を強化した。デング熱と早くわかれば、知らずに外出して蚊に刺されることを減らせるためだ。流行国への渡航歴の有無にかかわらず、感染が疑われる人がいたら、保健所の職員が医療機関を訪ね、採取血液を回収してウイルス検査をしている。


 海外で感染して日本で発症した患者の報告数は、今年が10月25日までに251人。データのある1999年以降最多だった2013年1年間の249人を上回った。


 川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「ウイルスが入ってくる事態は続いている。来年以降も蚊に刺されないように注意を続けることが大切」と話す。(福宮智代、武田耕太)


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 〈デング熱〉 デングウイルスが起こす感染症。熱帯地方に多い。主な症状は発熱や頭痛、筋肉痛など。人から人へ直接はうつらず、患者からウイルスを含む血を吸った蚊が別の人を刺すことで感染が広がる。潜伏期間は2~14日。感染しても症状が出ないこともある。多くは1週間ほどで回復するが、まれに重症化する。発症を防ぐワクチンや、特効薬はない。症状を和らげる対症療法が中心になる。

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台湾では140人以上が死亡、台湾全域でデング熱感染が原因と確認された死亡者数は累計141人で、1週間で12人増えました。


どうやら、蚊が成虫で越冬できない台北では、輸入感染症として東南アジア(主にインドネシア)から持ち込まれているのですが、越冬できる台南ではデング熱が定着してしまっているとのこと。ですから、台湾には複数のウイルス亜型の流行を認めているようです。


台湾からの旅行者が多く、かつ蚊が越冬することが可能な沖縄でも、やはり警戒を高める必要がありそうです。


台湾においても、検疫による発熱者の捕捉を行ってはいますが、やはりデング熱対策としては国内における感染対策に力を注いでいるようです。


具体的には、発生地域に重点的に専門チームを派遣しているほか、(包括的な感染対策の技能向上をめざして)すべての医師に年6時間の研修を課しています。現地の町内会長やボランティアスタッフなどを対象に正しい対策法や予防法などを周知させる活動も行っていました。また、蚊が発生しやすい環境を徹底的に排除するためのノウハウにも、同じ亜熱帯の島である沖縄が学ぶことは多そうです。


ただ、それでもデング熱が大流行してしまっていることは事実。言ってみれば、これだけ先進的と考えられる施策をとっていても、感染症に押し切られるわけで、さらに何をすべきなのか(あきらめて重症者対策へとフロントラインを下げるべきか)、そういう視点で私たちは台湾から学び取っていく必要がありそうです。


日本では、昨年8月にデング熱の国内発生が約70年ぶりに報告されたことを受けて、厚生労働省が「蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針」というものを策定しています。これによると、以下の4本の柱が示されています。


1)平常時から感染症を媒介する蚊の対策を行うこと
2)媒介蚊から人に感染した症例を迅速に把握すること
3)発生時に的確な媒介蚊の対策を行うこと
4)蚊媒介感染症の患者に適切な医療を提供すること


このうち市民向けに求める対策については、日頃より蚊が発生しないように環境整備を取り組むこと、肌をできるだけ露出しない服装や忌避剤の使用等による防蚊対策をとること、そして、海外に渡航するときには蚊媒介感染症にかからないように努めることなどを求めています。


さらに、デング熱が診断されたときには、蔓延(まんえん)防止のための防蚊対策を確実に実施して蚊に刺されないようにすること、献血を控えること、行政機関が実施する調査に協力することなど、蚊媒介感染症の国内発生の予防のために必要な協力を行うよう求めています。


これだけやれば、日本での蔓延を阻止できるでしょうか? もっとも、(これは台湾と違って)絵に描いているだけであり、ほんとにできるかは別の話ですね。やはり、デング熱が上陸してから慌てるのではなく、平常時から求められている対策を、いまから実際にやってゆけるかが問われているのかもしれません。


近年では蚊が媒介する感染症が(ほぼ)日本から一掃されたこともあり、蚊に対する知識や危機感が希薄になりつつあります。改めて私たちは、過去の経験を振り返り、近隣国の取り組みに学びながら、蚊と蚊が媒介する感染症への「市民レベルでの対策」を今から充実させてゆくことが求められていると思います。


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