『執金剛神・仁王 』から『執金剛神・仁王(2) 』より。
金剛力士は、悪を退散させる護衛神です。
金剛杵を手に仏法を守護し、外敵の侵入を防ぎます。
内なる敵である煩悩も粉砕します。
興福寺や東大寺南大門の仁王像が有名です。
金剛は「金剛杵(こんごうしょ)」の意です。
あらゆるものを破壊する強力な武器で、金剛力士はこの武器を手に、仏や信者を敵から護る、忿怒相(ふんぬそう)の夜叉神(やしゃしん)です。
日本では、上半身裸で筋骨隆々とし、血管が誇張され、忿怒相の躍動感あふれる姿に表すのが主流となっています。
敵を退散させる意味で山門などに二体一組で造像される金剛力士は、二つの王の意で仁王(におう)とよばれ、一体が口を開ける阿形(あぎょう)、もう一体のほかの一体が口を閉じる吽形(うんぎょう)として区別されることも行われます。
阿は五十二音の最初の音で万物の根源を、吽は最後の音ですべてのものの帰結を意味するといいます。
なお、金剛力士と起源は同一で別系統の天部に、金剛杵を持ち甲冑(かっちゅう)で身を固めた忿怒相の執金剛神があります。
東大寺法華堂の執金剛神立像が奈良時代の優れた塑像として知られています。
像形は、忿怒相で開口・閉口とし、執金剛神は甲冑姿、金剛力士像は半裸像が多いですが、古くは甲冑姿もあります。
印相は、金剛杵を持ちます。
構成は、阿吽(あ・うん)一対の金剛力士像(仁王)、独尊像もあります。
特徴は、守門神とする例が多いです。