明王の形(2) | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

明王 』から『明王の役割 』より。そして『明王の形 』…と見てまいりました。



しかしながら、実際の作例に目を向けてみると、インド・中国・日本というそれぞれの地域性、或いは、それぞれの時代というものを超越して、明王における異形・憤怒の表現は、たんに相手を威嚇・屈伏させるものではありません。


その姿は、あくまでも迷える衆生を救い、仏の教えに導くという究極の目的のための手段に過ぎない、ということが言えます。



即ち、明王の造形化に際して、作家たちに求められたのは、いかに異形の相(憤怒の相。或いは、怒りの表情など)の中に、仏の慈愛の心をにじませるかにありました。


そのことは、作家それぞれの明王に対するイメージの表現へとつながり、同じ尊であっても、画一的でない、個性豊かな作例を多く生み出すことになったのです。