「和多都美神社(わたづみじんじゃ)」と「海神神社(わたづみじんじゃ)」は、九州本土と朝鮮半島・中国大陸を結ぶ海上の要衝・対馬海人族の社です。
【和多都美神社】
住所 : 長崎県下県郡豊玉町仁位
創建 : 不詳
旧社格 : 村社
祭神 : 彦火火出見(ひこほほでみ)命・豊玉姫(とよたまひめ)命
神徳 : 海上安全
【海神神社】
住所 : 長崎県上県郡峰町木坂
創建 : 不詳
旧社格 : 国幣中社
祭神 : 豊玉姫命
神徳 : 海上安全
「和多都美神社」と「海神神社」は、密集する式内社として知られています。
「対馬の嶋(つしまのしま)」には二十九座(大六座・小二十三座)の式内社があります。
一般では、壱岐・対馬と並び称されていますが、同じ玄界灘に浮かぶ「壱岐嶋(いきのしま)」の二十四座(大七座・小十七座)を含めると、『延喜式』は「神名帳」の西海道(全九州)の神「百七座(大三十八座・小六十九座)」の、実にそのほぼ半数を、この壱岐・対馬だけで占めていることになります。
つまり、この二島だけで、筑前・筑後・豊前・豊後・肥前・肥後・日向・大隈・薩摩の九ヶ国に匹敵する式内社を有しています。
それは対馬が壱岐とともに、古代から九州本土と朝鮮半島や中国大陸を結ぶ海上交通の要衝としての役割をしてきたからです。
すなわち、「わたなか」の「津」の島の、そこで祀られている神々も重視されてきたのであります。
玄界灘の海人族が奉斎する対馬のワタツミの神々も、こうした渡海神の代表的な存在でした。