母に電話した。最近国際電話は本当に安くなったので、国内にいるとき以上によくしゃべっている。

先週、母は父と一緒にバスツアーで伊勢神宮へ参拝したのだそうだ。1月なので大変な人出だったという。そこで父の体調が悪くなり、母は見物もそこそこにバスに戻ることになった。

不満を感じた母は、そのことを電話で叔母に愚痴ったら、叔母が「お姉さんは優しさが足りない」プンプン と批判したのだそうだ。それ以来、いつも仲良しの二人が絶交中なのだという。私も確かに母は優しいタイプではないとかねがね思っていたので、叔母の批判も当を射ていると思った。すると母は、私のことも、優しいタイプではないというのだ(笑)

そうそう、私たちは非・癒し系の系譜なのだ。
毒舌家で人のあら探しが大得意。「寛容」とか「包容力」とかいう言葉は無縁なのだろう。

それは私たちの知っている限り私から四代上まで遡る。

私の祖母は、3歳のとき満州で両親を失った。帰国して、親戚の家をたらいまわしにされていた子供時代。その当時の子供は、夏になると近くの川で素っ裸で泳いでいた。

祖母が友達と泳いで、川岸に上がって来たとき、そこでは自分だけ着物がなくなっていたそうだ。仕方がないので、祖母は着物を着た友達の後ろに隠れて、祖母の伯父宅に戻って来た。すると祖母の祖母が出て来て、こう言った。


「おまえは川で泳いではいけない。おまえの友達は溺れたら両親が助けに来るだろうが、おまえには助ける人は誰もいないのだからね」


着物を隠したのは、祖母にそのことを教えるためだったらしい。
祖母はこの話を、亡くなる直前、母にしたのだそうだ。
きっつう・・・。

その後、祖母は成人して夫を早く亡くし、女手ひとつで娘4人を育てた。こういう環境に育った人間なら、どちらかというと優しいというより、厳しく強くなるのは当然の成り行きだろう。他人の弱さやダメさが許せなくなる。

こんな話を聞いた後、私も少しは意識して他人に優しく寛容に接するべきなのだなと思った。

もっと童顔で巨乳だったら、私ももちっとモテたかもと思ったが、そういう問題ではないのだった。


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