千葉県いじめ防止条例成立 | 栗原もとき オフィシャルブログ Powered by Ameba

本日、千葉県で「いじめ防止条例」が成立しました。



いじめ防止条例とは
地方自治体としての対策であり、以下のような規定をしています。

・学校および社会福祉施設において、いじめ等を把握した場合の対策義務及び自治体への報告義務

弁護士臨床心理士などの専門員が常駐する生徒や保護者からのいじめの相談を受ける「いじめ対策推進室」設置などです。

自治体により内容も異なってくるとは思いますが、それでも条例がない事よりも効果は得られるはずです。



平成24年度上半期の内閣府が発表した認知件数のうち、子どもの生命や身体の安全がおびやかされるような重大な事態に至るおそれがあると学校として考える件数は278件(小学校62件,中学校170件,高校41件(特別支援学校5件)です。

警察が取り扱ったいじめに起因する事件の検挙・補導人員は、平成18(2006)年に急増した後、減少してきたが平成24年に急増し、511人となった。

中学生が全体の4分の3を占めている。

原因・動機別にみると、平成17(2005)年までは「いい子ぶる・なまいき」と「力が弱い・無抵抗」がほぼ同じ割合であったが,平成18年からは「力が弱い・無抵抗」が多くなっている。

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いじめの態様は「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」(全体の66.8%)が最も多く、次いで「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする」(同25.3%)「仲間はずれ、集団による無視をされる」(同24.7%)となっていて、年齢層が上がるにつれ、叩かれたり蹴られたりすることが減る一方、パソコンや携帯電話による誹謗中傷などが多いこともあげられています。

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いじめの発見のきっかけは「アンケート調査など学校の取組により発見」(28.3%)が最も多く、本人からの訴え(23.4%)が続いていて、いじめ実態把握のためのアンケート調査を平成23(2011)年度中に実施した学校は全体で9割を超えています。

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そして、もうひとつの問題として不登校があります。

不登校児は、1990年代に中学校を中心に増加し、近年は,小学校ではほぼ横ばい、中学校では減少傾向、高校では増加傾向にあり、平成23(2011)年度には、小学校では22,622人(全体に占める割合0.33%)中学校では94,836人(同2.64%)高校では56,292人(同1.68%)となっていて、学年別の構成割合をみると、中学校2年生と3年生で全体の4割強を占めています。

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不登校となったきっかけは、小学生では「不安など情緒的混乱」「無気力」「親子関係」が多く、中学生・高校生と比べると家庭に係る状況が相対的に多いです。

中学生では「不安など情緒的混乱」と「無気力」が並び「友人関係をめぐる問題」「あそび・非行」が続き、高校生では「無気力」が最も多く、次いで「不安など情緒的混乱」「あそび・非行」となっています。

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一方平成22年度の文部科学省の調査です。

よく使われる文科省の統計は、「学校が認知した数」がカウントされて、あくまで認知件数=学校が把握できた数です。



いじめの認知(発生)件数の推移

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文科省のグラフでは、1994年=平成6年と、2006年=平成18年に、「急増」しているようにみられます。

しかしここには2つのマジックがあります。

少なくとも、「報道などでいじめ問題が注目されたため、各学校が注意深く調査するようになり、認知件数が増えた」ということ、それから「社会問題として取り上げられたことを受け、文部科学省がいじめの定義を変えたため、より多めに数えられるようになった」という2つの要因が関わっています。

小学高学年から中学2年生は、いじめが特に多い時期です。

いじめは、起きやすい環境と、起きにくい環境とがあります。

研究では、「いじめられた子の割合は小学校のほうが中学校に比べて高い」ことが明らかになっており、学年が進むに連れ、徐々に減少していくことがわかります。



被害者経験の学年進行による推移(7学年分/男女)

いじめ被害:仲間はずれ・無視・陰口:週に1~2回

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いじめには、発生しやすい月(いじめピーク)があります。

いじめは、どういう時期に起きやすいのでしょうか。

いくつかの調査は、いじめが発生しやすい月にも、一定の傾向があることを示しています。



過去三年間のいじめ認知被害者の数(小学校)

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過去三年間のいじめ認知被害者の数(中学校)

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もちろん、このデータが全ての学校に当てはまるわけではありませんし、これもあくまで認知件数であるため、目安のひとつでしかありませんが、それでも学校によっては、こうした時期を踏まえ、集中的に「いじめ対策強化月間」を設けているところもあり、いじめが発生してから対処するだけでなく、いじめが起きにくい環境を作るための計画づくりも重要となります。



そして私達の街、野田市ではいじめ問題に対して平成25年度に下記の内容を発表しています。

早期発見、早期対応が重要と考え、いじめ実態調査を市独自で年2回実施していますが、これとは別に、昨年9月に全国一斉にいじめ緊急調査が実施されました。

さらに、1月に追跡調査を実施し、9月にいじめと認知された件数のうち、1月までに小学校95.8パーセント、中学校90.7パーセントが解消しているとの結果を得ました。

これは、県の小学校88.3パーセント、中学校83.8パーセントを上回っています。
現在、特に重篤な問題の案件はありませんが、解消に向けて取り組み中やほぼ解消したものの継続して支援中のものが小学校6件、中学校3件あり、学校を訪問し、協議を行うなどして解消に向けて取り組んでいます。
引き続き、いじめは絶対許されない、いつどこでも誰にでも起こりうる、いじめられている児童生徒を全力で守るというスタンスで取り組んでいきます。



野田市のいじめとは本当に解消したのでしょうか?

解消した後に、いじめられていた子供達へのケアを行い、子供の中に残っている記憶やしこり、原因の認識などを考えさせ、取除いてあげたときに初めて解消と言えると思います。

子供のいじめは無邪気さの反面それが仇となりとても陰湿です。

そう簡単に解消できるはずがありません。

いじめられていた子供が本当にいじめから解放されるまでには長い月日がかかるはずです。

内閣府の発表を含めても、氷山の一角に過ぎないと思います。



私もいじめられていた経験が小学3年生からありました。

声を上げて「いじめられている」などとても言えませんでした。

また、親に話す事など問題外の選択でもありました。

思い返せば今でも鮮明に思い出すことが可能です。

そのいじめられていた時期は、自ら進んで発言する事や人前に立って話したりする事など全くできなくなりましたが、幸いにも中学に入るといじめられる側ではなくなり、高校中退後に働いたバーテンダーという人と接する社会経験を積めた事でコミニケーションに関しては問題ありませんが、私の中にもしこりとして奥深く残っています。

それほど、人間の脳にとって自分が経験した嫌な出来事は鮮明に残り社会で活動する上で妨げになる原因にもなります。



今後、野田市でも「いじめ防止条例」を必ず取り入れる必要があるはずです。

しかし、いじめの問題が解消したとしても、いじめにあった子供や不登校児に対してのケア拡大を合せて行わない事には、その子供達の無限の可能性を伸ばす事はできません。

その芽が詰まれないよう早急に考えなくてはいけない問題です。



私が街のお役に立てる時がきた際には、野田市にも「いじめ防止条例」等を取り入れることを検討し、真摯に取り組む事をお約束します。