コンサート後に時々質問を受けることがありますので、このことについて少しばかり書いてみます。
最高音域のド、ピタゴラスイッチのオープニングテーマで使われている音ですね。今まであまり意識せずに吹いてきたのですが、自分がどういうメカニズムで吹いているのか、探ってみるのは興味深いことでもあります。

まず、この音はきわめて特殊な音で、普通に出る音ではない、と思ってください。

ソプラノの音域は一般的に下から「ドレミファソラシドレミファソラシドレ」※とされています。音域表や運指表で見るとどの音も並列に並んでいますが、強さも音質もばらつきがあり、どの高さの音もほぼ均等に発音が可能なピアノなどの鍵盤楽器とは、まったく違う特性を持っています。これは管楽器全般(もちろん他の楽器にも)に当てはまることですが、リコーダーはそれが著しい楽器なのだと思います。

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譜例(※):シベリウスを使って作成。デフォルトの設定で演奏困難な音が赤く表示(※※)されています。 

特に一番高い二つの音、ド、レは、他の音とは性格がまったく違うので、通常は使われませんし、ここぞと言う時にがんばって出す音、と考えるのが良いと思います。これらの音は、まずf(フォルテ)以下では鳴りません。そして、うまく出せたとしても、耳障りなやかましい音であることには変わりません。こんな音を長くのばして演奏するのは禁物ですし、特殊な効果を狙ったものは別として、そのような楽曲もめったにないと思います。
つまりこの音は瞬間的に「ピッ」と、ちゃんと鳴ればそれで良いわけです。

ちょっと乱暴ですが、まずはそんな風に言い切ってみます。
要は、演奏の前に「よっしゃこの音出してやるぞ!」という意気込みが重要なのです。これだけでもうゴールは近いかも?……ということで、つづきは次回。

あ、そうだ。この音を練習する時は部屋の窓を閉め切るなどして、隣人やご家族に迷惑がかからないようにしましょう。

※半音階は省略しました。
この他に、ひざを使えば、最高音のミ、とその下のド#(レ♭)も出せます。

※※シベリウスのこの機能、便利だけど(もちろん非表示にも出来ます)、ちょっと親切すぎるかな~。音域はプレイヤーによって違ったりしますし、作曲家、アレンジャーはこれくらいの楽器の知識をまず頭に入れてから作業して欲しい、なんて思います。
ところで、今回の記事を書くことで、このソフトのちょっと踏み込んだ使い方をおぼえられた。ラッキー。

ソプラニーノや他の楽器のこともそのうちに。

栗原