非正規雇用者の増加が社会問題とされて久しいが、その正確な実態を把握することは政府統計においてもなかなか難しい。これは一つには、統計ごとで設問方法が様々であることや、調査目的によって労働者区分が異なる、または同じ区分でも微妙に定義が異なっているなどの事情による。有識者でつくる内閣府統計委員会でも、非正規雇用者の把握方法の見直しや、統計ごとに異なる労働者区分の統一を進める必要性などが指摘されているところである。
非正規雇用者を把握するうえで最も重要な政府統計は、総務省の「就業構造基本調査」(以下、「就調」)と「労働力調査」(以下、「労調」)の二つである。「就調」は5年に一度、世帯主15歳以上の45万世帯100万人を対象に調査している。調査対象数が多いため、非正規雇用者の人数を把握するのに有用である。後者の「労調」は、毎月4万世帯を対象とし基礎調査票を用いた基本集計と、四半期毎に1万世帯を対象とし特定調査票を用いた詳細集計とがある。「就調」に比べ、調査対象数は少ないが実施頻度は多いため、非正規雇用者の比率の変動を把握するのに有用である。
この二つの調査はともに、①実際に職場で呼ばれている「呼称」と、②雇用契約の「期間」とによって実態把握を行っている。図1は、「就調」の結果から「呼称」による把握方法で非正規雇用者の数と比率の推移をみたものである。最新の2012年調査では非正規雇用者は2千万人を超え、その比率は4割に達しようとしている。後者の「期間」による把握方法については、長らく一般常雇、臨時雇、日雇の区分による把握が行われていた。これについては、ここ数年、よりきめ細かい把握方法に変更されている。まず、「労調」では、それまで一般常雇を「1年を超える又は雇用期間を定めない契約で雇われている者…」と定義して調査していたため、1年を超える有期契約者の人数を把握することができなかったが、2013年1月調査から「常雇(無期の契約)」と「常雇(有期の契約)」の区分を新たに設けることによって、その把握が可能になっている(表1)。次に、「就調」については、2012年調査から上記3区分による設問を止め、より具体的に雇用契約期間の定めの有無や1回当たりの雇用契約期間などを尋ねる方法に変更している(表2)。
このように、徐々にではあるが非正規雇用者に関する統計整備が進みつつある。今後、一層の進展を期待したい。




