太宰治のお孫さんのデビュー作が芥川賞候補と聞いて、
この作品を読んでみようと思った太宰ファンは私だけではないと思います。
本の宣伝文に「お母さん、聞こえる?私は生きていくよ」とありますが、
その2文の間の文章が私はとても好きです。
家族の人間関係は、
しがらみが深いから尚、それぞれ数多な思いを抱えている。
相手に対する思いが1つじゃないからこそ、
良きも悪しきも抱えているからこそ、
どこを相手にぶつけ、どこを閉ざし、どう距離をとったらいいのか。
正解がどれかは分からない。
自分が選んだ道の結果しか、私達は知ることができない。
読みながら、つらつらそんな事を考えて・・・
「生きていくよ」という言葉の深さに、涙が止まりませんでした。
正直言って、前半はちょっと退屈でした。
でも、2/3あたりから、ぐいぐい引き込まれました。
家族との関係に悩んでいる方、
死をどう受け止めたらいいのか、戸惑っている方に、
読んで欲しい小説です。