先日、NHK・Eテレで認知症の世界を紹介する番組をやっていた。

 

自身も認知症を発症しているマンガ家の蛭子能収氏なんかも出演していて興味深く視聴した。

 

認知症というものは原因も様々であれば症状も様々、要するに千差万別・十人十色のものである、ということが改めて判った。

 

 

 

わが家では、認知症を発症した義母(子④(妻)の母)が同居するようになってかれこれ3か月になる。

 

この間義母はいろいろな認知症世界を見せてくれ、新しい発見もいくつかあった。

 

 

最近感じているのは、義母は、車と洗濯物に強いこだわりを有しているらしいということである。

 

 

何日か前には、子④がウチの車に乗って出かけようとしたところ、義母が強引に乗り込んできて、「後生だから私も連れて行ってください。」みたいなことを言って座席に取りすがり、近所のおばさんに応援を頼んでようやく車から引き摺り降ろした、という事件があったそうだ。

 

また別の機会には、子④が義母と子どもたちを連れて近所の百円ショップに買い物に行ったところ、義母が行方不明になって警察に捜索願を出すという事態に発展し、お店からかなり離れた海岸沿いの道をトボトボ歩いているところをパトカーに発見されるという事件もあった。

 

発見されたとき、義母は「娘が車で来てくれるっていうから迎えに行った。」という趣旨のことを言っていたという。

 

更に最近、ウチの車のワイパーが何者かによって窓から離されるように立てられる、ということが毎日のように起きている。

 

もちろん義母以外にやる人はいないのだが、聞いてみても「あたし知らんが。」と答える。

 

一方で義母は、外に干してある洗濯物を、晴天であるにもかかわらずすぐに取り込んで室内の鴨居のところに干し柿のように吊るしてしまう。

 

 

これらを分析するとひとつのキーワードに行きつく。

 

キーワードは「雪国の暮らし」である。

 

 

子④の実家にして義母が長く暮らしてきた日本海側の某地方都市は、田中角栄の選挙区であったことと共に雪深いことで有名な場所である。

 

冬場は日本海からの冷たい季節風が吹いて曇天及び降雪の日が続く。

 

義母自身も車を運転して移動するのが通常となっていたようだが、冬場の移動は尚のこと車に頼っていたことだろう。

 

そのような日常の中、雪の時期に車のワイパーをそのままにしておくと、雪が凍り付いて動かなくなり、お湯を掛けるなどひと手間かけないと用をなさない。

 

 

一方、まだ義母が認知症になる前の冬の季節に子④の実家に行ったことがあるのだが、そういえば洗濯物は、ストーブの利いた室内に干し柿を吊るすようにして鴨居を使って縦横に並べて干されていた。

 

冬場は日差しが乏しい上に頻繁に通り雨ならぬ通り雪がふるため、洗濯物の外干しには馴染まないのであろう。

 

わが家で義母が行っている車のワイパー立てや、とにかく洗濯物を室内に取り込んで干し柿状に吊るして干してしまうという謎の行いは、長い時間を掛けて彼女の意識に刷り込まれてきた雪国の生活習慣が、脳内の何かのスイッチが入ったことによって突発的に発現したもののように思われた。

 

認知症の徘徊に関する一考察

 

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