私が住む関東地方南部でも桜が満開となった。
昨日3月29日は所用で仕事を休んだのだが、午後、少し手が空いたので、桜見物を兼ねてお散歩に出た。
夏から冬にかけての頃には気付かなかったが、結構多くの家の庭に桜が植わっているものだ。
お天気はどんよりとした曇り空ではあったが、そこここで「ねえ、見て見て!私に気付いて!」と言わんばかりに桜が咲き競っている。
電車にも乗って少し移動したのだが、車窓から見える小高い山の中腹にもぽつんぽつんと桜が咲いていた。
ご承知のとおり、百人一首には「もろともに あはれと思へ 山桜 花より外に 知る人もなし」という歌がある。
この歌の本来の意味は、「(私がお前を愛しく思うように)お前も一緒に私を愛しいと思っておくれ、山桜よ。この山奥では桜の花のほかに知り合いもおらず、ただ独りなのだから。」というあたりである。
しかし私は、この歌の意味を、「すべからく山桜というものは哀れなものだ。花の時期以外には誰もその存在に気付いてくれないのだから。」と勝手に解釈している。
「あはれ」を現代風に「哀れ」と読んでしまうところがミソである。
それにしても、なぜあんなところに一本だけ桜の木がポツンと咲いているのだろう。
どこかの桜の木のさくらんぼを鳥が食べて、あのあたりに種を落としたのだろうか。
桜の季節になり、山の中腹にポツンと咲いている桜の木を見ると、ついついこの百人一首の句を思い出す。
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