2018年12月23日、あわてんぼう?せっかちな?!サンタクロースとして、呉市天応の仮設住宅にいきました。
天応地区を訪れるのは久しぶりです。西日本豪雨災害直後に撮影や取材では何度も足を運びました。その後も、支援物資を届けたり、ボランティアさんに差し入れをしたり、また被災地のその後の撮影をしたり。被災地での支援の様子も生活移り変り、被災者さんの生活のニーズも変化し、切羽詰まったあの時と違い、やっとクリスマスを迎える仮設住宅です。
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私も毎日の生活や仕事に追われながら、被災地に思いを馳せる日々を送っていたところ、天応でボランティアを続けているSさんから、「ホットカーペットが欲しいという被災者さんがいるのだけど、どうにかならない?」と電話を貰ったのが12月18日。
仮設住宅には、すでに他の団体から希望者にこたつの配布があったものの、4畳半の部屋にこたつを入れると狭くなるために受け取らず、ホットカーペットのリクエストがあったのでした。その後、Sさんが仮設住宅の仲良しのコミュニティを通じて、個別に必要数を聞き取ってくれました。
そんなやり取りを通じて、お預かりしていた義援金を活用して、ホットカーペットの購入にお役立てすることに。
話をまとめると、とにかく反応も行動も早いのが、KUREPの活動の良いところ(笑)?!
荷物を順調に手配し、12月23日に一足早いクリスマスプレゼントとして、お届けしました。
そして、おしゃれな雑貨や子供服を扱うステッチハウスさん(呉市)のご縁で、ニットショップまつやさんと編み物教室の生徒さんから託されたネックウォーマー、ニットキャップを持って天応へ。
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ステッチハウスさん
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待ちかねていてくれた皆さんに、物資を渡します。
「ま〜〜、ええ色の編物じゃね。早速かぶってみるわ」
「ホットカーペットのリクエストを出しても貰えんかったけん、嬉しい!」
「こんなにしてもらえて、本当にありがたいねぇ・・・」
弾むような嬉しい声と笑顔。皆さん、お元気そうで何よりです。
「せっかくだからお茶でもしてね」と呼ばれて、仮設住宅の一室でお話を聞きました。
今の天応は、どんな状態なのでしょう。
皆さん、先ほどの笑顔から少し表情を曇らせて、「天応のいま」を話してくれました。
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「2年後はここを出ていかないといけんのに、家を立て直す余裕も今後の見通しも立たなくて辛い」
「とにかく、市長に仮設住宅に来て、話をして欲しい」
「隣町は復興住宅(災害公営住宅)の計画が進んでいるけど、呉市はまだ・・・」
「思うことは沢山あるけど、聞き取りしてもらえない。どこに言えばええ?」
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「出来れば元の地区に戻りたい。でもどうなるのか情報がなくて諦めムードよ」
「イベントやケアは良くしてもらってありがたい。でも行政からの本当の支援策がわからないから、心から楽しめない」
「安心できる一言さえあれば、頑張れるのに・・・」
「社協や自治会を通すと、何かあったら困る、とボランティアや物資が受け入れてもらいにくい」
次々と飛び出す言葉に胸が痛みます。
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「私たちは発信できないから、お願いね!今を知って欲しいのよ。新しい家を立てる資金も借りられない。後期高齢者には貸してくれる物件も厳しい。2年後に、ここを出て行きたくても行けんよ。復興住宅が出来ると決まったら、私らここで頑張れるんよ!」
「今、次はどうするん?って聞かれたら、一番辛い。”次はね、復興住宅(災害公営住宅)に引越しするんよ!”って答えたい」
見えない不安に、蓋をして暮らす日々。
今だけ笑って、今だけ楽しいだけじゃ、救えないこともある。
根気強く、本当に細く長く。
私たちも被災者さんの声に耳を蓋をして、楽しくおかしく同じ市内で暮らすのは苦しいです。他人事でもなく、よそ事でもなく。
2018年7月、広島県呉市。多くの雨が降り続いて、思いも寄らない水や土砂が押し寄せて、甚大な被害が出ました。
目に見える土砂や倒壊した家屋の大きな被害の先には、関わる人たちの見えない心や思いがあります。
多くの涙が流れて、心の被害がこれ以上、大きくなりませんように。
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・2018年11月末。岡山県倉敷市は、7月の豪雨で被害が出た真備町地区に被災者のために「災害公営住宅」を整備する方針を決めました。
・2018年12月。岡山県総社市、片岡市長は被災者のため復興ビジョンをまとめ、災害公営住宅の整備など具体的な取り組みを示した「復興計画」を来年3月までに策定。
・2018年12月。広島県坂町は、被災者のために安い家賃で入居できる「災害公営住宅」を建設する方針を発表しました。
・2018年12月。呉市は7月豪雨被災者の方に提供する空き家の募集を呼びかけています。
もちろん、各事情や予算など、呉市には問題が山積しており、日々それぞれが奮闘している動きも見えます。
それでもなぜ、皆さんが「安心して暮らせない」「対応が遅い」「情報が入ってこない」と思っているのか。
ちょっとずつの寄り添いと歩み寄り。優しい言葉のかけあいと思いやり。
必死で生活を再建したいと思っている人の話を聞き取り、現時点で目一杯の温かい言葉や安心できる言葉をかければ、少しは解消するかもしれません。
遠く離れた土地から、天皇陛下やボランティアさんも来て下さいます。
同じ呉市内で、もう少し姿を見かけることがあれば、被災者の皆さんは元気付けられると思います。
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「それでも、明るく前向きにやるしかないけどね」
「言いたいことは、はっきり言うわ!」
「泣いても仕方ない。こうやって、話せるだけでも幸せじゃけんね。」
「今日の晩ご飯は何にしようかねぇ〜」「ほんま、ほんま〜(笑)」
最後はそうやって笑い飛ばす人生の先輩たちは、たくましくて素敵です。
このエネルギーが、間違いなく復興の力になります。
こうした意見が不平や不満とくくられるのではなく、前向きに生活を立て直すため、問題に取り組んで改善していく要素になりますように。
「KUREP」は本当にちっぽけなメディアではありますが、前向きな人、頑張っている人の声を、一人でも多くの人に伝えられたらと切に願っています。
*今回も皆さんのご協力が支えてくれました。
まるやまひとみさん、フェリシモさん、Kenkobaさん、ステッチハウスさん、ニットショップまつやさん他、有難うございました。