とても中身の濃い第3巻です。

謝憐と花城の関係は五段目ゴールとしたら、二段目ジャンプして三段目位まで行ったかしら?


風師や水師、地師にまつわるお話など、読みどころ満載です。


謝憐達二人の親密ぶりはさて置き、ほとんどの読者に嫌われているであろう青鬼チーロン。

爪弾き者ですが、逆に話が進むに連れ段々愛着が湧きつつある存在(え~っびっくりマーク私だけはてなマーク)、青鬼チーロンについて語りたいと思います。ニヤニヤ


食えない奴チーロン、花城言うところの能無しのゴミびっくりマーク

花城にかかれば、けちょんけちょんに言われ放題のチーロン。

でもチーロンも負けてはいない、裴茗は腐った種馬、小裴は提灯持ち、君吾は気取った奴、霊文はクソアマ、郎千秋は馬鹿で権一真は犬の糞、水師は腹黒で風師はあばずれ女、と第2巻で表現していた。

言うわねびっくり


鬼は過去を隠すものという共通認識のもと、普通本名は名乗らないはずなのに、

平気で本名を名乗る事に何かしら意味があるんでしょうね。

自意識が強そうだから。


第3巻ではチーロンは、最初から谷子や老蛍と一緒に謝憐と菩齊観で暮らす事に。

そこに花城が加わり、時には他の神官もやって来たりして、菩齊観は賑やかね。

チーロンの事は泰華殿下(郎千秋)には内緒、というか殿下は何処に行ってしまったのか、今回は出てこないわね。


谷子はチーロンの外見が父親だから、父親を守ろうとする。

そんな谷子との親子ごっこを、意外と気に入っているチーロンの様子から、寂しい生い立ちが伺える。


下ネタ大好きなチーロン。

裴茗に対する下ネタもお下品だったわね。

妙に勘もよく謝憐と花城のふたりは、最初からできていると勘ぐっていた。

3巻目で目の当たりにするのだが、花城に吹き飛ばされる。

チーロンの「オレの目を汚しやがってびっくりマーク」というセリフ、私は結構気に入っているわ爆笑

本当は「オレの大切な兄さまを、てめえよくも汚しやがってびっくりマーク」と言いたかったのかも。


謝憐が帰ってきた事に気が付いた花城が、チーロンを気絶させる場面がある。

それまで花城はテーブルに脚をのせて、チーロンの罵詈雑言を聞いていたという事よね。

二人の事を口汚く罵るチーロンの言葉を、遮る事なく聞いていた花城の心境はこれいかに?

いろいろ想像できるわね。


小者なんだけれど野放しにしておくと碌な事をしかねない、周りにも影響が及び面倒な事に発展するというような厄介な存在。

小さい頃から従兄弟の謝憐を太子兄さまと慕い、追いかけ回していた。

顔も下半分は謝憐と似ているが、目元が全く違って、凛々しいが見るからに扱いづらい人物と表現されている。

母親を失った後、本気で愛してくれる人も、教育を施してくれる人もいなかったようね。

それ以前に、病的なものも感じるし。

どうして鬼になったかは、まだ明かされていないけれど。

彼にもそれなりに、いろいろあったんだと思うわ。


謝憐はチーロンの事をどう感じていたか?

仙楽国が滅びる前は、チーロンの生い立ちを考えると可哀想に思え、腹が立つ事はあっても無下にもできなかったかしら。

母親の亡骸を骨灰にしてしまったチーロンには強い怒りを感じても、チーロンが入っている肉体は谷子の父親だし、餓死させるわけにもいかずに食べ物を与える謝憐。

がっついているチーロンを憎らしくもあり、哀れでもあると感じている。


花城は幼い頃城壁から落下したところを謝憐に助けられ、生きる希望を与えてもらう。

チーロンも幼い頃、父親から離れ母親と一緒に皇室で暮らすことになった時、心細くしていたチーロンに最初に声を掛けてくれたのが謝憐だった。

謝憐との最初の出会いは、二人は似かよっている。

二人とも寂しく居場所がない。

そんな二人に対して謝憐はというと特別な感情があったわけではなく、片や上から落ちてきたから助け、片や寂しそうにしている従兄弟を見て、持ち前の優しさと太子という育ちからくる博愛の心で声をかけた。

でも、二人にとってはこの人しかいない、という特別な存在になっていく。

二人とも、いわばストーカーのようだけれど、行く道は大きく隔たる。

けれど二人とも鬼の道を選んでいるのね。

花城は素性を明かさず、ただひたすら謝憐の事を想い、付かず離れつしながら影のように付き従ってゆく。

チーロンは慕う感情がいつの間にか拗れて捻れて、でもまだ分からない事だらけね。


鬼の命を握る花城の骨灰は謝憐の胸元に、ではチーロンの骨灰は何処に隠してあるのかしら。

もしかしたら・・・・・あそこかな?あそこなら絶対安全。

妙に小賢しいところがあるから。

でも、どこか憎めぬ哀しく憐れにも感じるチーロン。



何だかんだ言っても、みんな謝憐の事好きでしょ。

様々な人生生きて、粋も甘いも噛み分けた割には純粋な謝憐。

本来、経験豊富で誰よりも優れ頼りになる存在のはずなのに、何故か皆母性本能をくすぐられているような感じ。

君吾も心の底では、そうなんじゃないの?

好き嫌いは表裏一体ですもの。


まだよく分からない点多々ありで、結論出すには不十分。

チーロン最後、谷子を置いて逃げ出してしまったし、第4巻はどうなるのかしら、発刊はいつになるのかしらね?