監督は『海の上のピアニスト』などの名匠ジュゼッぺ・トルナトーレ。
ベタな言い方ですが、上質なミステリーとでも言いましょうか。
一度、いや二度観ても、よく分からない所あるかも。私の理解力の無さよ😅
そのくらい、あちこちにヒントがちりばめられている。
そのヒントに気がつかなかったりして
登場人物は、主人公のヴァージル・オドマン(ジェフリー・ラッシュ)。
人に興味を持たない、神経質で気難しいが、才能のある有名な鑑定士。
絵画や調度品などの鑑定を依頼する、資産家の娘クレア (シルヴィア・フークス)。
機械職人のロバート(ジム・スタージェス)。
ヴァージルの古くからの友人で相棒のビリー(ドナルド・サザーランド)。
ほとんど、この4人で話は進行していく。
ひとことで言えば、長い間の恨みを持ったビリーの、大掛かりな復讐物語。
ヒントになる、オートマタ(機械人形)の部品。
話が進行していくにつれて、出来上がっていくオートマタ。
クレアの住む屋敷の近所のバーにいる、小人症の女性が発する数字や言葉。
等々、見逃したり聞き逃したりしないように。
ある程度の年齢になってから初めて知る、人を愛し愛される喜び。
知ったがために訪れる悲しみ。
初めて観た時は、「年寄りに対して、いくら何でも酷すぎる」
などと少々可哀想に思ったけれど。
でも今は、人を一度も愛する経験もなく人生を閉じるより、
たとえクレアからの愛が偽りだったとしても、
自分のクレアへの愛は本物だったということが、
時が経つほどに掛け替えのない宝物として、心に残るのかも知れないと思った。
そしてそれは、ほんの少しの希望にも繋がる。
たとえ、叶わぬ夢だと分かっていても。
ラストシーンのプラハのレストランの、インテリアの沢山の時計が、
これまでの長い時の流れと共に、これからの残り少ない時を刻む。
まだ若さのある時に観るのと、還暦過ぎてから観るのでは、
観る側の受け取り方が、全く違ってくるのではないかとも思った。
沢山の美術品や調度品、部屋の内装など、魅せられる物が多い。
謎解きの部分と、人としての生き方、老人の悲哀など色々考えさせられる。
重いけれども決してイヤミスではない、心に刺さる作品だ。
※ 画像はYouTubeよりお借りしました。