17話「俺のせいにされてたまるか」
鬱ノ宮高校の悲劇
第17話「俺のせいにされてたまるか」
密室に男が2人。
そのうちの背の低いほう、民井幸教頭が言う。
「兄さん。逃げ腰の逃電に任せきりではなく、
理事長や教頭が指揮をとるべき、という声があがってるんですが…」
「ふざけるなッ」
背の高いほう、
民井完理事長が
例によって短気を炸裂させる。
「こんな危険なモノを造ったのは
全部右田一派の仕業だぞ!
我々は長年それに反対してきたんだ!
どうして尻拭いをせねばならん!
一から十まで逃田と右田にやらせろッ!
俺のせいにされてたまるかぁぁぁッ!」
「…お、落ち着いてください、兄さん。
わかってます、わかってますから」
弟は慌てて短気な兄をなだめる。
「わかりました。引き続き逃田と化学部にやらせますから…。
…いいですか、次の議題です」
「明日の朝礼なんですが。
いつも通り正確な数字は伏せて、
最も希望的な観測を並べるだけ、ということで宜しいですね?」
「…ふう。 ……仕方ないだろう。
事実をそのまま発表すると、知能の低い生徒どもが
パニックを起こしかねないからな」
生徒会活動から叩き上げて今の理事長ポストをつかんだ完だが、
今やその目線は生徒からはるかに遊離している。
「それから… 避難区域から遠く離れた水道水でも、
○○○の濃度が基準値を超えて検出されまして…」
「…むむう。それも今言うとパニックになるな」
「1週間ほど間を置いて、数値が下がってから発表しましょうか?」
「うむ。もう飲んじまった後なら文句も言うまい」
「えっと、それから、既に設定済みの避難区域の外に
新たな危険箇所が見つかった件なんですが」
「ああ。あのIAEAが指摘した場所か。
あれはお前が問題ないと一度突っぱねたではないか」
痛いところを突かれて、幸は頭をかいた。
「それが…やっぱり危険だったんで…
このままでは避難区域の拡大もやむを得ないかと…」
「それでは我々の落ち度を認めたことになるぞ!
馬鹿者、認めてたまるか!何か巧い知恵を出せ!」
「……え、あ。はい。
…それでは…
別の用語で新たな避難区域の名称を
ひねり出すというのはどうでしょう?」
「うん。
…まあ名案だな。
…まったく。 糊塗に糊塗を重ねるから事態がどんどんややこしくなる」
「あ、それから」
「まだあるのか!」
民井理事長は短気を必死に抑えて弟の言葉を待つ。
「ネット上で我々指導部の発表を揶揄する、
不逞の輩が後を絶たないのですが」
「そんな奴らは権力で取り締まれ!
言論の自由なんて言ってる場合か!」
「…わかりました。
ネット上の言論を監視処罰できる校則を通しましょう」
弟の幸が書類の束を抱えて出て行くと、
理事長室には完だけが一人残った。
「…ふふふ」
窓から空を見上げ自嘲気味につぶやく。
「……これじゃあ長年批判してきた右田と変わらないな」
「俺はいったい何のために………何十年もあがいて来たんだろう」
完の横顔が急速に老け込んだようだった。
民主党、正直ここまで自民党のコピーとは思いませんでしたね。
2大政党がこれじゃ、まるで戦前そっくりです。
つーかもう新たな戦前なのか(笑)
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