18話「それぞれの前夜」
第18話「それぞれの前夜」
右田核栄とその実子翼。
畳敷きの広い道場に正坐して向き合っている。
「未来や子孫のための政治…だと?」
「御意ッ」翼は両手をついたまま答える。
「ふふん。…よぉく聞け、翼。
ワシは戦前の生まれだ」
「はッ」
「当時の大人どもがワシらに残してくれたものといえば、
焼け野原と瓦礫の山だけだ」
「……は」
「今のこの繁栄はワシの代がゼロから築きあげたものだ。
それをワシらが使い切って何が悪い。 ええ?」
「……」
「未来や子孫のためだと? たわけがッ!
未来は自分の手で掴み取るものだ。
他人の施しなどハナから当てにするなッ!」
「はぁッ!」
翼は平伏した。
唇をきつく噛み締めながら。
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逃田が化学部の生徒を前に言う。
「いいですか~。 優先順位の第1位は、
君たちの被曝線量が限度を超えないことですぅ。
原状回復は第2位に過ぎません~。
わかりますかぁ~?」
化学部の部長、2年生の松本が言う。
「あ、あの。今まで絶対安全だと言ってきた、
僕たちの責任はどうなるんでしょう?
チェルノブ○リでの兵士たちのように、
命をかけてでも止めるべきものではないんですか?」
「いいえ~。コレは電力の供給を受けてきた、
鬱高生全員が等しく背負うべきものなんですぅ~。
我々だけの責任ではありましぇ~ん」
逃田が念を押す。
「いいですかぁ。
できなきゃぁ~できなかったぁ~
でいいんですぅ~」
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新聞部の部室。いつも通り部員は2名しかいない。
「緑子ちゃん、あたしやっぱり理事長を目指すよ!」
「なんだ突然」
「あたしが理事長になって、鬱高の進路を途中で転換させる!
それって2671年間、誰にも成し遂げられなかったことなんでしょ?」
「ん? ん。ああ」
緑子はシュークリームを食べながら
面倒そうに答える。
「そうだなぁ。幕末しかり。終戦しかり。
我が高は一度どん底まで行かないと
方向転換がきかない」
「あたしが止める。
そしてUターンしてみせるよ」
「ふん。無理だと思うがの…
まあやってみるがよい」
「うん。やってみるんじゃないよ。
や・る・の!」
そう言って七雲は
自分のシュークリームを口にほおり込んだ。
そして…運命の朝を迎える。
このブログは原発に反対する立場から書いた、
ライトノベルもどきの短文小説です。
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