23話「エピロオグ」
鬱ノ宮高校の悲劇
第23話「エピロオグ」
鬱ノ宮高校新聞部の部室。
こういう場所は15年経っても意外と変化しないものだ。
記念式典が終わって、そこを訪れたのは現理事長と現教頭。
元新聞部部長の小沢七雲と、
新聞部と敵対していた元風紀委員長、右田翼だ。
「入れ」 尊大な女子の声。
「緑子ちゃん!
本当に、ホントオに何にも変わんないんだね!」
七雲が部室に飛び込むなり弾んだ声で言う。
部室の奥に座っているのは、緑色の髪の少女。
明らかに年上に見える七雲に向かって、
対等というよりむしろ上から、甚だテンション低く応える。
「……ふうん。貴様は老けたな、七雲」
「あ~んもうッ! どうして綺麗になったな、くらい言えないのよ!
何千年も生きてるんだから少しはお世辞くらい言いなさいよ!」
「2686年じゃ」
「あんたね!…どーでもいいけど婆ぁのくせにその肌は反則よッ!」
翼は会話には積極的に加わらず、
たまに眩しそうに緑子をチラ見している。
「…そうそう…世辞と言えば中条だがな」
中条は緑子の使い魔の神鳥の名前。
外見はただのウソという野鳥だが、
人語を解し詭弁を看破する能力を持つ。
かつては七雲も借りていたことがある。
「今の新聞部部長に預けてあるのだがなぁ。
あまり役に立つ機会がない、とぼやいておったぞ」
「あ~。いまの執行部は嘘をつかないのを
絶対信条にしてるからね。
本当のことをありのままに言ってるから、
さすがの中条も出番が無いかも」
「感心感心。
結局、真実を言ってしまうのが一番の近道なのじゃ。
どんなに破滅的に見えようともな」
「えへへ。緑子ちゃんの言ったとおりにしてるよ」
「ところで真実と言えばなぁ、教頭」
緑子がいきなり矛先を翼に振る。
「 ! なっ なななんだよ」
「本当のことを答えろよ、翼」
「…だ、だから何だよ!」
「さっきから気になっておったんじゃが」
「な何が」
「貴様が私を見る視線の熱さじゃ。 これは只事ではないぞ?」
「…! ばッ ばか! 何言ってやがるッ!」
「スーツにネクタイでその視線は犯罪ではないのか?
相手はJKだぞ?」
「ばッ! なななな何がJKでいッ! ざけんなよこのアマ」
「ほらほら昔のヤンキー言葉がだだ漏れじゃ。 教頭先生?」
こわもて生徒指導の右田教頭も、緑子にかかれば掌中の手玉と同じ。
「あ。…ああ~。右田クンやっぱりロリコンだったんだぁ」
「…りり理事長まで何言って」
「ツンデレでロリとはのぅ」
「違ッ つかテメどっからそんな用語仕入れやがった」
「17年も生きてると自然に耳に入ってくるものよ」
「さっき2686年と言ったろうがあああぁぁぁぁあああ」
「ふうぅ…熱いのう。…それとも理事長狙いか?
本人は綺麗になったと思っておるらしいぞ?」
「ちょ緑子あんた何」
おみやげのシュークリームの箱を開くまでには、
まだまだ時間がかかりそうだった。
鬱ノ宮高校の悲劇 [ 終 ]
このブログは原発に反対する立場から書いた、
ライトノベルもどきの短文小説です。
細かなデータに揚げ足取りされないために、
あえて創作というカタチをとっております。
したがってフィクションであり、
実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。
短いあいだでしたが、
ご愛読いただきありがとうございました。
弱者が泣かなくてすむ、
よりよい未来が訪れますように。
おまけ
中条、要約中(笑)

