新しい奨学金制度 詳細 | くらしとお金の学校

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5つの新しい奨学金制度、開始へ

 

平成29年度より、日本学生支援機構で、5つの新しい奨学金制度が始まりますのでご案内します。

 

具体的には、①給付型奨学金の創設、②低所得世帯に対する無利子奨学金における成績基準の実質的な撤廃、③新たな所得連動返還型奨学金制度、④無利子奨学金の保証料率の引き下げ、⑤返

還額の負担軽減の導入です。

 

なお、②~④は、無利子の第一種奨学金が対象です(有利子の第二種奨学金は対象外)。⑤は有利子の第二種奨学金も対象です。

 

  給付型奨学金の創設

大学、短大、高専、専門学校に進学する、住民税非課税世帯の生徒が対象です。高い学業成績又は学業以外の活動で成果をあげた生徒の中から高校が推薦します。各高校に最低1名分の枠を割り当て、残りの枠は各高校における非課税世帯の生徒の割合などで割り振られます。

 

給付額は、私立下宿生は4万円、私立自宅生と国公立下宿生は3万円、国公立自宅生は2万円です。児童養護施設の出身者などには、入学時に24万円が給付されます。

 

本格的な給付は平成30年度からですが、私立下宿生や児童養護施設出身者などに対しては平成29年度より先行して給付が始まります。

 

  無利子奨学金における成績基準の実質的な撤廃

住民税非課税世帯に対しては、5段階評価で評定平均値3.5以上を満たさなくても無利子奨学金が利用できるようになります。


③ 新たな所得連動返還型奨学金制度

大学院、大学、短大、高専、専門学校に進学する生徒・学生が対象です。奨学金の返還方法は、現行、「定額返還型」のみですが、返還月額が卒業後の所得に連動する「所得連動返還型奨学金制度」が導入されます。

 

保証制度は機関保証が予定されています。私立自宅生が月額54,000円×48か月借りた場合の返還例は、定額返還型の場合、所得にかかわらす、月額14,400円(15年間)です。

 

新所得連動返還型を選択した場合、返還額は、年収200万円では月額約4,700円、年収300万円では月額約8,900円、年収400万円では月額約13,500円などとなります。

 

なお、返還開始後は、新所得連動型から定額返還型への変更はできません。また、新所得連動返還型を選択した場合、返還猶予は利用できますが、減額返還制度は利用できません。

 

※(名称が似て非なる既存の制度)

・所得連動返還型無利子奨学金

第一種奨学金の申込時の家計支持者の世帯年収が300万円以下で、卒業後の本人の年収が300万円以下の場合には無期限返還猶予が適用されます。利息を含む返還予定総額は変わりません。

 

  

  無利子奨学金の保証料率の引き下げ

無利子奨学金に限り、来年度進学者から連帯保証人の代わりに保証機関を利用する際の保証料率が現行から約15%引き下げられます。これにより、貸与月額54,000円の場合、現在は月額2,269円の保証料が1,928円になります。

 

  返還の負担軽減

毎月の返還額を最長で15年間、本来の金額の3分の1にし、返還期間を延ばす制度です。4月以降、年収325万円以下の人が利用できるようになります。無利子、有利子のいずれの奨学金利用者も対象です。

 

例えば無利子の利用者で毎月14,400円の返済を15年間続ける人は、返還開始から最長15年間は3分の1の月4,800円に抑えることができます。16年目以降は月14,400円に戻ります。期間延長しても返還総額は変わりません。

 

※(似て非なる既存の制度)

・減額返還制度

本人の年収が325万円以下の場合、最長10年間、月々返還する金額を半分にすることができます。利息を含む返還予定総額は変わりませんが、返還期間が最長5年延びます。

・返還期限猶予制度

本人の年収が300万円以下の場合、最長10年間、月々返還する金額を先延ばしにできます。利息を含む返還予定総額は変わりませんが、返還期間が最長10年延びます。

 

★新たな奨学金制度に関する相談窓口が日本学生支援機構に開設されています。
設置期間は平成29428日(金)までの平日で、時間は9:0018:00、電話番号は03-6743-6719です。

 ファイナンシャル・プランナー 新美昌也