2016年8月以降に施行される介護にまつわる改正あれこれ(1) | くらしとお金の学校

くらしとお金の学校

NPO法人くらしとお金の学校は、個人や家庭の生活設計にかかわる情報提供やコンサルティングの活動をおこなっています。なお、ブログの記事は個々の会員の個人的な意見ですのでご了承ください。なお、この記事による損害の責任は負いかねます。

 

高齢化の進行で介護サービスを利用する人が増え続けています。2015年度の介護給付費実態調査(厚労省)によると、介護や介護予防の公的サービスを利用した人は、過去最高の605万人と、はじめて600万人を超えました。介護財政は厳しく、介護保険は頻繁に改正されています。

 

本年8月からは補足給付の基準が厳しくなっています。一方、介護をしながら働く方が働きやすくなるような改正も行われています。主な改正内容を確認しましょう。

 

■2016年8月から補足給付の収入のチェックに遺族年金、障害年金を追加

 

●補足給付(特定入所者介護サービス費)とは

低所得者が介護保険施設(特養・老健・療養病床)や短期入所(ショートステイ)を利用する際の食費や居住費(滞在費)は全額自己負担です。この負担を軽減するために、所得に応じて設定された負担限度額を超える費用を支給するものが補足給付です。なお、サービス付高齢者向け住宅や有料老人ホームなどは対象外です。

○給付対象者は以下の通りです。

・第1段階:生活保護受給者、老齢福祉年金受給者など

・第2段階:年収80万円以下の基礎年金受給者など

・第3段階:市町村民税世帯非課税者など(第1.2段階の対象者を除く)

 

●改正の内容

〇2015年8月以降

世帯分離した配偶者の所得が住民税課税の場合は対象外となりました。また、預貯金等が一定額以上ある場合(負債は相殺)も対象外となりました。目安として、ひとり暮らし1000万円、夫婦世帯2000万円程度です。

 

〇2016年8月以降

補足給付の給付対象者のうち、第2、3段階は、年金収入及び合計所得金額の合計額で判定されます。8月までは、遺族年金、障害年金といった非課税年金は判定の対象外でしたが、8月以降は判定の対象となりました。これにより月額最大3万円程度の負担が増えます。

 

つづく

 

新美昌也